第4章 死神と日輪刀
杏寿郎side
父上の誤解を解き柊の部屋に向かう。
「一線は越えるなよ」とありがたいお言葉を頂いた。
リーンはというと表情こそ乏しいが嬉しそうなのはわかる。
リーンへの気持ちに蓋をすると覚悟したが、それを易々と砕いて近づいてくるリーンが憎たらしい。いや、そんなリーンだからこそ、このような気持ちになるのだろう。
「もう少し杏寿郎と話がしたかったが、すまない、もう体も眠気も限界だ。」
前と同じように向かい合って抱きしめる。そしてまたしても脚を絡め、胸板に頭を埋め俺の匂いを嗅いでいるようだ。
だが、前回と違うところが一つだけある。それはサラシだ。
サラシを巻いていないリーンの胸の膨らみは俺の腹あたりに当たっている。上から見える合わせの隙間からも谷間が見て取れる。
(これは、、なんとも、、耐えられるか、、?)
疲れが限界だったのは本当だろう杏寿郎の匂いを嗅ぎながら深呼吸をしているうちに規則正しい寝息を立てて眠りに落ちた。
背中に回していた手を頭に添える。
綺麗な絹のような柔らかい髪。一束取ると口付ける。そして鼻に近づける。
「君は俺の匂いが好きだというが、それは俺も同じだよ。」
寝ているリーンに聞こえない告白をして額にくちづける。
「…ん…。杏…寿郎…。」
独白に応えるように身じろいで俺の名前を呼ぶ。
「夢の中でも俺がいるのか?」
リーンの頭を撫でながら目を瞑る。
寝れないと思っていたが、リーンが気持ちよさそうに眠る鼓動を感じていつまにか眠りに落ちた。