第3章 死神と藤襲山
天元side
いつもしっかりしてる煉獄が何やら上の空。と言うよりも他に心配事があるようだ。
まぁ柱っつってもまだ二十歳にもなってないガキだからな。大人のお兄様が手ほどきしてあげますか。
任務は滞りなく終わり普段利用しない詰め所に泊まる。理由はもちろん煉獄への尋問だ。
「…で、何があった?」
酒瓶片手に煉獄の部屋へ赴き、話を聞き出す。
「『何』とは?」
「隠しても無駄だろ!分かりやすすぎるんだよお前は!」
「そういや、今は最終選抜の時期だなぁ」と言うと
ビクッと反応する。
(ははーん。そう言うことか。)
「なんだいつのまに継ぐ子ができたんだ!?甘露寺以来じゃねーか!そら心配だよなぁ!」
バンバンと煉獄の背中を叩き選抜の心配よりも継ぐ子ができたことに喜ぶ。
「いや、彼女は継ぐ子ではない。今だけ煉獄家で修行をつけている。
全集中の呼吸を身につければ彼女に合った水の呼吸の使い手の元に見送る予定だ。」
いつもの元気っ子はどうした?と言わんばかりにシュンと落ち込んでる煉獄。
それから彼女、リーンは雪や氷を扱う能力を持ってる事、
稀血のため柱である煉獄が直接指導していたことを聞いた。
なんだそれ!呼吸じゃない能力?!派手派手じゃないか!
なるほどなぁ。煉獄の管轄を少し担ってほしいとお館様に言われた時は何事かと思ったがそう言う事か。
だが他にも何か隠してるなぁ、ここで言わねえって事は大事な事なんだろうが、、。
「まぁ剣の腕は確かなんだろう?稀血っつっても不死川みたいに誘き寄せて一掃する手もあるんだしよー大丈夫なんじゃねーの。」
そう軽く伝えると煉獄の表情が曇る。
「そんな無謀な戦い方は教えてはいない!自分を傷つけるなんてマネはさせない!」
その言葉を聞いて俺は納得した。
「お前の不安は最終選抜じゃないな。」
「??どう言う事だ?」
「つまりだ。リーンちゃんが最終選抜に合格すりゃぁ煉獄家にいる意味はなくなる。そもそも最初から水の呼吸と全集中の呼吸、両方を教えれるやつんとこに行けばよかったんだ。お前の不安はリーンちゃんがお前のそばから離れる事だろ」
ズバッと指摘してやる。
面食らった顔の煉獄は愉快だ。