第3章 死神と藤襲山
素直に足を乗せると足首からふくらはぎ、太ももとゆっくりじっくりと触れながら上にと上がってくる。
内腿に手が伸びると
「…ん…はぁ…。杏寿郎…そこは…だめ…」
自分が出したとは思えないほど官能的な声が漏れる。
「リーン、我慢してくれ。傷の確認をしているだけだ。」
本当に?そう言いたいが、口を開けば声が漏れる。
その反応に満足そうにニコリと笑う杏寿郎。
そして足を戻しお腹に手を触れヘソのすぐ横にまたしても唇を落とす。
だが何を思ったかーーーペロっーーーー赤い舌先で柊の腹を舐めたのだ。
「んあっっ!!…やっ…ダ、、め…!」
甲高い嬌声が脱衣所内に響く。
本当にダメなら突き飛ばせば良い。
槙寿郎を力でねじ伏せたように。だがそれをしないのは心の底では杏寿郎を想っているから。杏寿郎を拒絶する事は万が一にもないのだ。
それどころか胸の下にいる杏寿郎の頭を抱きしめる。柔らかく獅子のような黄金の髪に触れながら。
(口ではダメと言いながら体は俺を離さまいと抱き寄せている。よもやよもやだ。本当に愛いなリーンは)
この状況に1人ほくそ笑む杏寿郎。
ふと柊が目線下の杏寿郎を見ると下から見上げているその目が合う。
暖かく、太陽のような優しい瞳はそこにはなく、ギラギラと獣のような情熱的な瞳があった。
(まるで肉食獣。でも杏寿郎になら食べられたとしても、、)
そんな柊の考えを読み取ったのかゆっくりと立ち上がる杏寿郎。
柊は息も絶え絶えでうっすらと目に涙がたまっている。
「リーン、、。俺は、、。」
杏寿郎は柊の頬に右手を添え、左手は腰に手を添える。
2人の視線の間は甘い。
「兄上ーー!要がお手紙を持ってきたようですー!」
台所のほうから千寿郎の杏寿郎を呼ぶ声が聞こえた。
ピタッと止まったかと思えば、杏寿郎は我に帰ったのか
「すまないっっ!!あ、、湯はもう沸いたはずだっっ!!ゆ、ゆっくり浸かってくれっっ!!」
そう慌てて脱衣所から飛び出していった。
ヘタリとその場に座り込む柊
(なんだったんだ今のは、、?)
ドキドキと心臓が破裂しそうにうるさい。
杏寿郎に触れられた頬が体が全身が熱い。
まず冷水でも浴びようか。そう思い最後の衣類を脱ぎ、浴室へと足を踏み入れる。