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死神の華【鬼滅の刃】

第3章 死神と藤襲山


明日は早いからと一番風呂をいただき自室へと向かうと庭に面する縁側に杏寿郎が腰掛けていた。

こっちにおいでと手招きされ杏寿郎の横に座る。
2人して何を話すわけでもなくただ黙って空を見上げる。

「リーン。本来君は鬼殺隊には入らなくてもいいんだ。」
何を話すかと思えば。
「なぜそう思うんだ?」
「鬼殺隊のほとんどが家族や大事な人を鬼に殺された者たちだ。復讐のためだったり生き残った人を守るためだったり。これ以上悲しい悲劇を起こさない為にな。」
「私は無関係だと?」
「そうだろう。君はこの世界とは縁もゆかりもない。今まで140年戦い続けてきたんだ。この世界ではゆっくり穏やかに生きてもいいだろう?」
「縁ならある。」
そう夜空を見ながら言い切る柊に杏寿郎はこちらに振り向く。
「縁は杏寿郎。君だよ。」
今度は杏寿郎の目を見ながら話す。
「私がこの世界で戦うと決めたのは君のためだ。別に守ろうとかそう言うつもりはない。杏寿郎こそ煉獄家の責務。その想い一つでここまできた。その姿を目に焼き付けたいのだ。杏寿郎、君の横で共に戦いたい。それだけだ。」
そう静かに話す柊に杏寿郎は心が跳ねる。

すっと柊は杏寿郎の頬に手を添える。
突然の動きに杏寿郎はビクッとしたがされるがままになる。
「初めて見た時、金色の髪をなびかせた姿は獅子のようだと思った。杏寿郎の目も髪も全てが美しいと思ったんだ。」
その言葉に杏寿郎は目を見張る。
そして柊の手が離れていこうとしたが、今度は杏寿郎が柊の手を掴む。

「どうしたーー?」そう言い切る前に杏寿郎が柊を抱きしめる。

ぎゅっと強く。

柊は杏寿郎の胸に顔をうずめる。

「杏寿郎。私を見つけてくれてありがとう。」
「何度でも見つけるさ。君が生き続ける限り。」


藤襲山に入れば1人になる。この世界に来て1人になった事は一度もない。他の参加者への巻き添いを危惧すれば1人で行動するべきだ。

今だけ。今夜だけは杏寿郎の温もりを感じていたい。

「杏寿郎、今夜は一緒に寝ないか?」
「ん゛っ?!、、いや、、それは、、」
ダメだと言う前に。
「嫌、、か、、?」シュンと目を伏せる柊を見て
「構わないっ!!」

咄嗟に言ってしまったのは後の祭だった。


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