第2章 死神と炎柱
槙寿郎の提案で杏寿郎とともに炎柱邸から煉獄家に引っ越す事になった。
元々杏寿郎はずっと煉獄家にいたが、甘露寺という継ぐ子がそれはもうパワフルでうるさい、いや賑やか過ぎたため炎柱邸を使用していたらしい。
それに今は落ち着いているが柱になりたての頃はその指導を受けようと常に隊士が出入りしていた。
だが厳し過ぎて皆逃げ出してしまったらしいが。
そうと決まれば行動は早かった。翌日の朝には杏寿郎とともに荷物の往復を鍛錬だと称して運び出す。
「この炎柱邸はどうなる?元々お館様が家主だ。次の炎柱のために置いておくか、賃貸に出すか、詰め所として開放するか。まぁおれが炎柱の間に所帯でも持てば新たな煉獄家としてここに住むのかもしれないな。」
2週間ほどの短い間だったが、杏寿郎との鍛錬や修行はいい経験だった。名残惜しいが炎柱邸にお辞儀をすると杏寿郎と煉獄家へ向けて歩き出す。
その日の夜、早速杏寿郎に任務がおりた。
「鬼はどれくらいいるのだろうか」
「さぁな。鬼舞辻無惨が存在する限り、更にそこに人がいれば無惨は無限に鬼を増やす事ができる。」
「そうか、、」
「安心しろ!俺は強い!誰も死なせやしないさ!」
不思議だ。杏寿郎が安心しろといえば安心するし、死なせないというならその通りになるだろう。
夜の任務に向けて杏寿郎は昼食の後一眠りすると自室に戻った。
千寿郎は学校だ。早速今日から槙寿郎から指導を受けられる。
そう考えながら木刀を持って庭に出る。
槙寿郎の指導は今までの杏寿郎がすごく優しかったんだな。と思うほど厳しかった。まさに鬼。いや、鬼を倒すための修行なのだが。
「なんだ、、もう限界か?俺に啖呵切った勢いはどうしたぁぁ!!」
おじいさまも厳しかったがそれ以上だ。槙寿郎は刀を握ると人が変わるタイプか。
「はぁ、、はぁ、、すーーっ、、!!っっく!!」
全集中の呼吸にするため息を吸って全身に巡らせる。その間も槙寿郎は叩き込んでくる。
「違う!!もっと息を吐け!息を止めるな!!」
カンカンと木刀の交差する音と槙寿郎の怒号が煉獄家に響き渡る。