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死神の華【鬼滅の刃】

第2章 死神と炎柱


「瑠火の着物を使え。」
そう言って槙寿郎は自室に戻って行った。

「いいのだろうか。母君の着物といえば形見だろう?私なんかにそんな大事な物を、、。」
「そんなことはありません。このまま置いていても箪笥の肥やしになるだけです。それより袖を通してもらった方が母も喜びますから!」
そう言って千寿郎も着物を取りに部屋を出て行った。

「ありがとうリーン。」
杏寿郎が突然感謝の言葉を発する。
「もう気にしてない。杏寿郎も気にするな。」
「それもなんだが、そうじゃなくて。」
「ぅん?」
「父上の事だ。今日、久しぶりに父上と会話らしい会話をした。今までどんなに話しかけても『どうでもいい』『関係ない』『勝手にしろ』ばかりだったからな。俺たちだけでは父上の心に触れることはできなかった、、。ありがとう。」
「私はきっかけに過ぎない。元々槙寿郎は君たちの事を大事に想っていたよ。やり方は不器用だがな。今まで瑠火殿に全て任せていたツケが回ってきたんだ。大事なのは自分の気持ちをちゃんと言葉に表す事。言葉にし続けるといつしか叶うんだよ。それに、杏寿郎がずっと言葉をかけ続けていたからこそ私の言葉が届いたんだ。君が諦めていたら私は何もしてないからな。」
ぽんっと杏寿郎の頭に手を乗せる。
「なんの真似だ?」
「いつものお返しだ。今日私は杏寿郎を子ども扱いしたい気分だからな。」
そう言って今度は両手で頭をワシワシと撫でる。
「コラっ!やめなさい」
「おっ、意外とふわふわで柔らかいんだな。よしよし」
やめない柊の手を掴みお返しだと言わんばかりに反対の手が柊の頭に触れようと、その際いつも高い位置で結えている紙紐を解く。
勢いそのまま杏寿郎が柊を押し倒す態勢となる。
「ふふっ。すまんすまん。少しからかい過ぎたか?」
両手は杏寿郎にひとまとめに頭の上に置かれている。杏寿郎の片腕は倒れ込む際頭を打たないようにと後頭部に添えられている。
そして脚の間に杏寿郎の体が入っている状態。

「、、杏寿郎、、?」
先ほどまでのからかう雰囲気とは一転して真剣な眼差しで見下ろす杏寿郎に柊はドキリと胸が鳴る。

ーーガラーー
「お待たせしました。母の着物何着かと一応兄上のも持ってきましーーー、、」
千寿郎が居間に入ると兄が女性を押し倒している光景だった。

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