第2章 死神と炎柱
杏寿郎side
今、、父上はリーンの事を女性だと言ったが、聞き間違いか?
ふと件のリーンの方に顔を向けると、なんとも言えない表情で気まずそうだ。
(まさかっっ!)
「お前、、まさか本当に知らなかったのか?一目見ればわかるだろう、、?どう見ても、、。」
「、、兄上、、。」
2人の視線が痛い。
するとおずおずとリーンが手をあげ、話す。
「すまない。いや、、なんとなく、もしかしたら、と前から思っていた。たまに私のことを『彼』と他人に紹介するときもあったし。」
じーっと視線が刺さる。それに、とリーンは話を続ける
「同室の部屋に泊まった時も、同じ布団で寝た時も、私が風呂に入ってる時でも普通に脱衣所に来たり。屋敷の中で裸で歩きまわるのも、私の常識と杏寿郎の常識の認識のちがいかと思っていた。」
ダラダラと汗が出る。そうだ、リーンが男だと思っていたからこそだが、今女性だと考えると恐ろしい。
横に座るリーンはもちろんだが、正面に座る父と弟の顔を見ることなんてできない。
「私も悪いんだ。男だと言った訳ではないが女だと訂正もしてこなかった。今まで間違えられることなんてなかったから、、まさか本当に男だと思われていたなんて、、。」
そう、尻窄みに話したところで。
「すまんっっ!本当にっっ!」
土下座だ。これは俺が全面的に悪い。リーンが悪い事なんて一つもないのだ。
許してくれるだろうか、いや、許されなくてもいいとにかくリーンにこれ以上嫌われたくない!それだけだ。
頭を下げる俺にリーンは
「特に怒ってないよ。だから顔をあげてくれ。言ったろ?私は杏寿郎が好きなんだ。男も女もない。これまでの私に対する言動も含めてな。」
リーンが俺の手の上に自らの手を重ねて微笑みかけてくれる。
(ん゛っ!!愛いっっ!!)
テレテレと顔を赤く染める。
「お前ら、、。もう好きにしろ。」「似た物同士と言う事でしょうか」
そう呆れる槙寿郎とクスクスと笑う千寿郎だった。