第2章 死神と炎柱
「うるさい!お前には関係ないだろう!」
「フッ。どっちが『ガキ』だ?都合が悪いと押し黙る。槙寿郎、貴様は鬼殺隊を辞めて正解だ。そんな腑抜けたやつが隊にいると士気が下がるからな『クソ餓鬼!』」
柊は煽りに煽る。遂に槙寿郎が手をあげる。
その動きに反応して柊は振り上げた腕の下に入り込みそのまま槙寿郎の懐に入ると腰に腕を回し、勢いそのまま床に倒し込むと後ろ手を掴み背中に馬乗りになる。
一瞬の動きに杏寿郎と千寿郎は驚く。それ以上に驚いているのは槙寿郎だ。
いくら酒に酔っているからと言っても体格の差、ましてや槙寿郎は元柱だ。剣術の速さは知っていたが、体術までできるのか。と杏寿郎は関心する。いや、関心してる場合ではないのだが。
「貴様も私の父のように杏寿郎を殺したいのか?!死に至す事に尽力するつもりか?!」
「違う!!」
槙寿郎が咄嗟に否定する。
「なら杏寿郎を認めないのは何故だ?」
「………」
槙寿郎は答えない。
「いや、認めているのか、、?何故突き放す?憎いわけではないのだろう?」
「………」
「お前、、。そうか、、そう言う事か、、。」
そう言って柊は槙寿郎の背中から離れる。
「……リーン?どう言う事だ?」
1人納得する柊に杏寿郎が問いかける。
「それは私から伝えていいのか?槙寿郎。」
未だ畳の上に倒れ込むままの槙寿郎に柊は手を差し伸べる。
それを見て槙寿郎は一瞬考えたのち、その手を掴んで体を起こす。
「槙寿郎がこう拗らせてから長い時間が経っているのだろう。今すぐにとはいかないだろう。だが、君は私の父とは違う。そして杏寿郎も君とは違う人間だ。何があったかは知らないが杏寿郎は強い精神を持っている。何を聞いても大丈夫だ。君の息子だろう?君が信じないでどうする!」
さっきまでの殺伐とした雰囲気なんて全くなく、むしろ慈愛に近い柊に杏寿郎も千寿郎も安心する。
もちろん千寿郎も立派な息子だ。と頭を撫でる。
「すまない、本音を聞き出すためといえ、槙寿郎には思ってもないことを言ってしまった。」
困ったように謝罪する柊の姿を見て槙寿郎も俺も大人気なかったと仲直りの挨拶をする。