第18章 死神と豪華客船
午後に御館様と会えるとの事ですぐに2人は待ち合わせの屋敷へと向かう。
客間に通されると天元はすでに到着していたようで御館様と天音様と談笑していた。
「「御館様。失礼致します。」」
「やぁ、杏寿郎、柊。昨夜の任務はご苦労だったね。」
「いえ、国を、市民を守るためです。」
「天元からあらかたは聞いているよ。柊。君が強い鬼を取り逃してしまったと言う事、そして自責の念に駆られていると言うことも。」
「……。」柊は天元を見つめる。
「悪りぃな姫さん。ネズミが見てたんだ。だが、言葉を話せねぇネズミのジェスチャーだ。詳しい事は姫さんの口から聞きてえ。」
「御館様。私はあの船で…。鬼舞辻無惨に接触しました。」
その言葉を、聞いた全員が目を見開き息を呑む。
杏寿郎と天元が驚きの声を上げ、柊に詰め寄ろうとしたところを御館様が手で制する。
「柊…。続けて。」
その言葉に杏寿郎と天元は口を閉ざし柊の話を一字一句聞き逃さないように聞く。
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「ーーーこれが無惨とのやりとりです。」
柊は静かに昨夜あった出来事を詳細に話す。
「御館様っ!!申し訳ございません!!無惨を目の前にして…私は…命をかけて戦うどころかっ、手も足も出ず…むしろ…奴に情けをかけられたようなもの…。」
手をつき、頭を下げ自分の恥を謝罪する。
「柊、頭を上げて。まず、君の命があって良かった。鬼舞辻無惨はとてつもなく強い。柱であっても1人では抗えない。そんな中、五体満足で戻って来てくれた柊は奇跡だと言っても過言じゃないんだよ。」
「ですが…。」
「僕は死してまで戦うことが全てだとは思ってないんだよ。何にでも見極めが大事なんだ。今回は無惨にとっても、君にとっても戦う時期ではないと言うことだった。それだけだよ。」
落ち着いた声で諭すように話す御館様に柊は胸がすぐ思いになる。
「御館様…。これからも一層精進して参ります。」
「だがこれで姫さんが無惨に目をつけられたって事になったな。」
「うむ。これからは1人での任務は極力避けるように願いたい!」
天元と杏寿郎が柊の身を案じていると、御館様が提案する。