第16章 (短編)呉服屋での話
「こんな短いスカート。現代人は中を見られたらどうするんだ?」
「リーンちゃん何言ってんの!今は見せパンが流行ってるんだから!」
「みせ…ぱん?なんだそれは?」
「見せるパンツ!もしくは見せてもいいパンツの事よ!…待ってよリーンちゃんもしかして…いつも何履いてるの?」
「袴だが?」
「その下よ!下履き!まさか明治や大正時代の古くさーいカボチャパンツみたいなの履いてるわけじゃないでしょうね!」
「……。」
「呆れた!よし!今日はリーンちゃんの勝負下着買いに行くわよー!」
「勝負?誰とだ?」
「もう!とにかく派手でセクシーなやつ!」
ー ー ー ー ー
「よし!これで完璧!」
「はぁ、はぁ、なにが…完璧だ!この痴女が!」
試着室に入ると乱菊まで入ってくる。そして柊の着ている服を全て取っ払うと試着する下着を次々着させてきた。
後ろから胸を持ち上げカップの中に収める。
「ちょ…っ、乱菊…っ!んんっ!」
「やーん、リーンちゃんったら感度イイんだからぁ!」
楽しそうな乱菊に恨みの視線を送るが気にしてないようで。
デザインはほとんど乱菊に任せ、3セットだけ購入した。
「いやー、イイ買い物したわ。リーンちゃんはそれだけでよかったの?」
「良いも悪いも私はそもそも服に興味もないし、下着だってサラシと腰巻きがあれば十分だと思うがな。」
「バッカねぇ!今の下着の機能性甘く見ちゃだめよ。伸縮性、機能性、デザイン性、全て兼ね揃えてるんだから。」
はいはいと軽くあしらうと地獄蝶が飛んでくる。
「そろそろ帰らないと。」
「えー!もお?今から美味しいスイーツ食べに行くのにぃ!」
「それこそ無意味だろ。言っただろう。私に味覚はない、金の無駄になるんだから、次は七緒でも誘ってやれ。」
「七緒こそ堅物なんだから来てくれないに決まってるじゃない!」
ぷんぷん怒る乱菊に、ふふふと笑うと柊は地獄蝶を開き尸魂界へと帰って行く。
自室に戻る柊。
「な!なんだこのフィット感は!胸はサラシの方がいいが…この下履きはいい!確かに乱菊の言う通り、機能性抜群だな。」
こうして柊は現代の下着を愛用するようになったのだ。