第15章 死神と科戸の風
さすが風柱というだけあり、型を使用せずとも理解できる。
この男は今まで出会った柱の中でも群を抜いて強い。
何しろ鬼に対しての憎悪が半端ない。
(っく!凪で受け流すのが精一杯だ。隊長クラスの強さだ)
「オラオラァ!一端なのは口先だけかぁ?!!」
隙のない激しい剣技に柊は押される一方だ。
(こいつ、やるじゃねぇか。甲とはいえこの俺についてくるとはな)
口では言っているが、内心は柊の粘り強さに感心していた。
その時柊の体の力が一瞬だけだが抜ける感覚になった。
ーーザシュっザシュッーー
柊の腕と脚に赤い線が入る。
「はぁ、はぁ、はぁ…。」
「なんだぁ?もうへばってんのかよ?テメェ鬼殺隊向いてねぇよ。無駄死にする前に辞めるんだな」
「…はぁはぁ、そう…だな…。確かに…私はまだまだ鬼殺としては未熟だ…。…だがっ!私の生き死には自分で決める!もう誰にも私の生死を好き勝手にはさせはしないっ!」
グッと刀に力を込め風柱に向き直る。
「…へぇ。死線を潜り抜けたいい面構えしてんじゃねぇか。俺は不死川、テメェは?」
「…リーンだ。」
だが柊の体は限界を迎え、膝が地面に着く。
丸2日天元と共に任務を行い、さらに死神の力、鬼道を連発した。
チャクラはもうギリギリだ。それはもう柊自身気付いている。
(天元に頼めばよかったか?すぐ帰ると思っていたから油断した。)
「おいっ、大丈夫かよ?マジで体調悪かったのかよ?」
少し焦りを見せた不死川は殺気を収め、柊に手を貸そうと歩み寄ろうとするが、ピタリと動きをとめる。
「ちっ。人の血に群がる雑魚鬼が。」
「はぁはぁ、すまない。私のせいだ…。稀血に反応してきたのだな。」
ゆっくり立ち上がると鬼に備えて刀を構える。
「…テメェも稀血かよ。奇遇だな。俺もだ。」
そう言うと不死川は自分の腕を刀で切り付ける。ポタポタと腕から血が流れ落ちる。
「っな!何を?!」
「これが俺の戦い方だァ!文句あっか?!」
「…言いたい事はたくさんあるが…まずは鬼を殲滅する。」
「探してた鬼は1匹だったんだがなぁ。」
いつの間にか周辺の鬼が稀血の匂いを嗅ぎつけ集まってきたようだ。