第15章 死神と科戸の風
風の呼吸で吹き飛んだ更地の中心に立つ。空を見上げるとそこだけ木々がすっぽりと抜けたように穴が開き、月がよく見える。
次々と薙ぎ倒されてる木の音を聞きながら
「今日は満月だな。」
近づいたらとばっちりを喰らう。しばらくほっとこう。
綺麗な月をのんびり眺めようじゃないか。
ふと静寂が柊を包んだ。そしてぴくっと空気が震えると柊は後ろから飛びかかってきた男の刀を素早く受け止めた。
「テメェ…人間じゃねぇな…鬼ってわけでもねぇが、関係ねぇ!切り刻んでみてやるゼェ!!」
「っは!君こそ!鬼狩りというよりも鬼神の名が似合うぞっ!」
「風の呼吸 弐ノ型 爪爪・科戸風!!」
「水の呼吸 拾壱ノ型 凪」
風にのって爪のような裂く攻撃が多数飛んでくる。それを柊は凪で全ていなす。
「てんめぇ。水の呼吸だと?鬼殺隊かぁ?」
「見てわかるだろ。隊服も着ているし、日輪刀もある。何より鎹鴉のあやめがいる。」
「……。凪は冨岡の技だ。なんでテメェがその技を使える?」
「直接指導してもらったからだ。なんだ君は義勇の友人か。友は居ないと言っていたがちゃんといるではないか。」
男が義勇の知り合いだとわかり柊は刀を鞘に仕舞う。
「あ゛っ?友達じゃねぇよ。」
ギロリと恐ろしい顔を向けられ、柊は苦笑いをする。
「そ、そうか…。それはすまない。(義勇…彼に何した?すごく嫌われているぞ?)」
刀を仕舞うことなく男は柊に刀の先を向ける。
「テメェ、階級は?」
そう言われて手の甲を見せる「甲だ。」
「ッハ!!テメェみたいなヒョロヒョロが甲だと?隊の質も落ちたもんだなァ!」
男から殺気が溢れ出した。柊はそれを感じ取り刀の柄を握る。
「…やる気か?隊士同士の斬り合いは御法度だろ?」
「手合わせだよ…。柱直々に指導してやるってんだからありがてぇだろ?」
「…柱?君が?柱とは皆聡明で心広い品格のある人の事だろう。」
「…ぶち殺すっ!!!」
どこが指導だというのか、柊は本気で殺気を込めて斬り込んでくる風柱に対して必死に喰らいつく。