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死神の華【鬼滅の刃】

第14章 死神と憂鬱


「「「ひいぃぃ!!」」」

射殺すような冷たい殺気に恐怖し、隊士たちはすぐさま洗濯カゴを手に取り自分たちで洗います!と言って走り抜け、そのまま散らかった木刀なども拾い上げ、障子を外し奥へと消えていった。

「情けない。まぁすぐ動くだけマシか。」
先ほどまでの冷たい目は消え、優しいいつもの柊の顔に千寿郎もホッとする。

「千寿郎、君は学校があるだろう?まさか槙寿朗に無理に言われて手伝っていたのか?」

「いえ、僕が進んでやりました。最初は隊士の方達が自分でやってたのですが…ほっとくと家がめちゃくちゃになるので…。学校はちゃんと行ってます。今日は午前だけだったんです。」

「そうか。ならいいんだが。…くれぐれも無理はしないでくれ。千寿郎の笑顔が曇ると私も悲しい。」

そう言うと千寿郎は元気よく笑顔で「はい!」と答え、抱きついて来るので柊は優しく受け止めた。


あれから荷物は全く増えておらず、竹籠ふたつ分だったので柊は自分で抱えて持ってきた。
荷物を自室に置くと槙寿朗の部屋へと向かう。

「槙寿朗、ちょっといいか?」
「柊か。夕方になると思っていたが早かったのだな。」
「あぁ、さっき着いた。隊士たちの事だが。」
「…母屋には入らないように伝えてある。」
「?いや、千寿郎に世話を任せないようにしてほしい。千寿郎には学業があるだろう。女中を雇うなりして負担を減らしてくれ。」
「あぁそっちの話か。そうだな…。ずっと考えてはいるんだがなぁ…。」

何やら訳ありの様子で話す槙寿朗に柊はしびれを切らす。

「…煉獄家はこの辺りじゃ名のある家だと知っているか?」

「まぁ代々柱だしな。」

「鬼殺隊なしにしてもだ。縁を持ちたいと話しかける者は多い。」

「女中を募ると嫁候補が群がると?」

「そうだ。」キッパリと言い放つ。

まぁ二十歳目前の立派な長男が未婚で、しかも男前ときたら世の女性は黙ってないだろう。千寿郎だってもう少し成長すれば2人に負けないほどいい男になるだろう。

「なら高齢とまではいかないが中年の既婚者に絞ればいいではないか?」

「俺が狙われる…。」

なるほど。妙に納得してしまう。

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