第13章 (短編)雪白姫の噂
「つ!な!なんなんだお前は!なんでここがわかった!」
「何故ここがわかったと不思議に思っているのだろう?だがそれを貴様に教える義理はない。教えたところで理解できるとは思わんし、何より貴様ら鬼は鬼舞辻無惨と繋がっているのだろう?そう易々と手の内を見せる訳がない。」
柊は刀の先を鬼に向ける。寸分狂いもせず向けられる刃に鬼は恐怖で震えている。
逃げても無駄だと本能で感じた鬼は最後に一矢向こうと柊に向かって飛びかかる。
それを華麗に飛び上がり避けると
「水の呼吸 捌ノ型、滝壺!」
上から叩きつけるように頸を斬り落とした。
ボロボロと鬼の首が崩れ落ちると柊の視覚と聴覚が元に戻る。
「ふう。戻ったか。」
柊は押し入れに残してきた隊士の元に戻ると彼は涙を流して柊に感謝した。
「うぅ、君に命を助けてもらったのはこれで2度目だ!本当にありがとう!」
「どこかで会ったか?」
柊は単独任務か義勇と2人での任務ばかりで他の隊士と顔を合わせたのはこれが初めてだ。
「藤襲山で、最終選抜の時に…。」
そこまで言うと柊は思い出す。
「あぁ!あの時の!」
手鬼に捕まり、助けた少年だった。
そうしているうちに隠が到着する。
柊は少年を医療班の隠に引き渡し、怪我の手当をお願いすると村長宅へと向かう。
鬼がいたあの部屋にはすでに作業が進められ遺体が次々へと丁寧に外へと運ばれていく。
あの時僅かに息があった隊士も今は絶命しており、柊は静かに近づくと頬に手を触れる。
その肌はまだ温もりが残っていた。
「すまない。もう少し早く私が来ていれば…。いや、過ぎたことだな、後からなんていくらでも言える。…よく耐えた。」
死んだ隊士たちに向けて労いの言葉をかける柊の姿を隠たちは涙ぐんで見守る。
その隠の中でも指示役の1人が柊に声をかける。
「なぁあんた。この件は柱案件だったはずだがいいのかよ。」
「え、一応鴉で連絡はしたが…。だめだったか…?」
「許可の返事は?」
「……。」
その時あやめが柊の元へ飛んでくる。足には手紙がくくりつけられていた。
開くと本部からの司令で待機命令。柱を向かわせるからそれまで手を出すな。と書いていた。
「「………。」」