第11章 死神と熱
「どうした胡蝶!」
義勇の声に我に返ったしのぶは開いた着物をギュッと閉じる。
「…冨岡さん?あなた一体…柊さんになにしたんですか?」
「……。」
ギロリと義勇を睨みつけると、キョロキョロと目を泳がせる。
「はぁ…。普段何を考えているか全く分からないのに、どう言うわけか今冨岡さんの考えていることがわかるのが、すごく嫌なんですけど。」
「おそらく疲労からくる熱ですね。外で濡れたままだったりしない限り、ですけど。」
その言葉に義勇は「あっ…」と声を出す。
「呆れた。思い当たることでも?…まさか外で?野蛮過ぎです!」
「違う、風呂場だ。」
律儀に性行為をした場所を訂正するとしのぶは顔を赤くして「聞いてませんっ!!」と怒り出す。
「とにかく、お風呂場での行為と、その疲れ、そもそも彼女はこの世界に来てから心身ともに気を張ってきたんです。無理が一気に出たんでしょうね。」
しのぶはそう言いながら柊の頭を優しく撫でる。
その時、ーーーーガラガラっ!ーーーー
勢いよく部屋の扉が開き、
「柊!!!無事か?!!!」
大きい声の杏寿郎が現れた。
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少し前。
蝶屋敷を構える町の外れで杏寿郎は天元と鉢合わせた。
「よお!煉獄!」
「宇髄か。奇遇だな。君も蝶屋敷へ行くのか?」
「あぁ藤の毒の改良ができたって聞いたもんでな。お前は?」
「まぁちょっとな。胡蝶に相談しようと思って。」
「何を?ってのは野暮だな。姫さんの事だろ?」
ニヤニヤと笑みを浮かべる天元
「俺は本当に無知だった…。中に出すと言うことは子を孕むのだな。勿論その時は責任をしっかり取るが…。心配になってしまったのだ。」
「そんときゃ俺の子かもしれねぇぜ?俺もたっぷり出したし。」
「む。それもそうだが…。」
「ってかお前知らなかったのかよ。」
「恥ずかしながらな。知識としては知っていたが中に出すのは男の支配欲だと思っていた。赤子はコウノトリが運ぶと思っていた。任務先で隊士同士の会話だが、中に出してしまった。子ができた、どうしたらいいか。なんて話が聞こえたものでな。」
「できたもんはしゃーねぇよ。責任逃れして逃げるのだけは同じ男として許せねぇが。」
そんな会話をしながら歩いていると蝶屋敷に着く。