第10章 死神と炎の音
「杏寿郎!任務!任務!」
夕刻になり、鎹鴉の要が任務の時間だと教えてくれる。
客間で3人抱き合いながら寝ていたが『任務』と言う単語に反応して一斉に覚醒する。
脱ぎ散らかした衣類を集め、急いで着ると刀を持ち出立の準備をする。
いつもの爽やかな好青年、煉獄杏寿郎の姿だ。
「柊…。行ってくる。」
隊服のシャツを羽織ってるだけの格好で柊は杏寿郎に抱きつく。
「いってらっしゃい、杏寿郎。組紐、ありがとう。杏寿郎だと思って大事にする。」
「…はぁ。生まれて初めて任務に行きたくないと思ってしまった!」
はっはっはーと笑う杏寿郎に「はよいけ」と手を振る天元。
「宇髄!…あまり柊に無理はさせるなよ?」
「へいへい」
「名残惜しいがもう行かなければ。」
そう言うと杏寿郎は柊の頬に手を当てちゅぅと口付ける。
「…んふぁっ…んンっ…んちゅっぷはぁっっ…」
深い口付けを送るとすぐさまトロンとした顔になる柊に満足した杏寿郎は優しく笑うと踵を返し水柱邸を後にし任務地へと出立して行った。
天元は寂しそうにしている柊の後ろからぎゅっと抱きつき
「なに?さっきのお別れのキスで疼いちまったか?俺が慰めてやるぜ?」
「今夜は義勇の管轄を見回らなければ。」
天元の腕からスルリと抜け出すと杏寿郎に貰った組紐で髪を結い上げる。
「ふーん。まっ、煉獄から許可は貰っちまったからいつでも姫さんの事抱けるからいいんだけど。」
ニカっと笑いながら結い上げた柊の髪に触れる。
「『無理はさせるな』ってことはそう言うことだろ?」
ちゅっと天元は柊のうなじに口付ける。
シャツの後ろ襟を少し下げると背中に赤い印が至る所に咲いていた。
(髪紐の色もそーだけど、煉獄って意外と支配欲すげぇのな)
柊がゆっくり立ち上がると内腿にドロッと流れる感覚。
「っあ…。」
座っている天元からはその白い流れ落ちる光景がはっきりと目に見えた。
「っえっろ…」
天元はギラッと目つきが変わると柊を横抱きに抱え込むと
「そんなエロい体で夜の見回りなんて言ったら町の男たちにナニされるかわかんねぇぞ。まずは風呂だな。」
ニヤリと妖しい笑みを浮かべ2人は風呂場へと向かう。