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死神の華【鬼滅の刃】

第9章 死神と愛


背後から剥き出しになった首筋に舌を這わせる。
ちゅ、ちゅ、と唇を落とせばその度に甘美な声を上げる柊。

「柊。君は本当に甘いな。どこもかしこも。」
最後にジュゥゥと吸い付くと柊の首筋に赤い花が咲く。

「んっっ…はぅっ…杏寿郎…?」

「これでよし!任務は明日の夜、一晩世話になる。そういえば冨岡は?」

「今日から任務に出ている。3日はかかる、長くて1週間不在だ。今夜は杏寿郎と2人だな。」
そうニコやかに話す柊に杏寿郎はドキリとする。

「(よもや2人きりだとは)家主が不在なら俺はやはり家に戻ろう。」
その言葉に柊はピタと止まり
「杏寿郎…帰るのか?私は久しぶりに…抱いて寝たい。」
「ん゛ん゛!そ、そうだな。」
悲しそうな柊の顔を見て帰るという選択肢は無くなった。
そして相変わらずなんて愛らしいのだ!心の中で叫ぶ杏寿郎。


ーーーーーーーーーー


夕飯がないとのことで柊と杏寿郎は町へ出る。

天ぷらが美味いと評判の店だ。
杏寿郎は天丼大盛り、柊は天ぷらうどんを食べる。

食事をしながらもお互いの手紙では書ききれなかった近況を話し合い、楽しい時間を過ごした。

夜の帳が下り、帰りには人がちらほらと見える。鬼の被害が少ない地域だと夜に出歩く人も多い。ここらも昔は鬼の脅威で暗くなれば人っ子1人姿が見えなかったが、義勇が管轄になるとそれはなくなり、次第に夜の活気が蘇ってきたのだ。

杏寿郎と柊が帰り道を歩いていると、前方からフラフラと酔っ払いが歩いてきた。

「よっ!あんた最近見かけるようになった美人さんじゃないか!いつもの男前はどーした?今日のお相手はその旦那かぃ?ヒック。いいなぁ、俺もこんな美人なねーちゃんとよろしくしたいねー!」

じゃぁなーといいながら去っていく男。
ふと杏寿郎を見ると青筋を立てて刀に手をかけている。

「杏寿郎?!どうした?こんなところで抜刀しないでくれ」

「あの男、柊を娼婦のような扱いをした。許せまい!」

「いいんだ。どうせただの酔っ払いだ。私は気にしてない。私は私の事を知ってくれてる人に大事にしてもらえたらそれだけでいい。」

「柊…。」頬に手を当てると。杏寿郎は柊を横抱きに抱える。


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