第11章 ほどけない指先
な「……あぁ、やっぱり……たまらないです。」
女の感度の高さに不思議さを抱きながらも、なとりはその理由を追及しようとはしなかった。
ただ今この瞬間、自分にだけ向けられていると錯覚できる熱に酔いしれていた。
な「……可愛い……全部、僕のものにしたいです。」
とろけるような声で囁き、甘く唇を塞ぐ。
舌が絡み合い、さらに深い熱を呼び込む。
そのたびに、女の身体は痙攣するように反応し彼の名を呼んでしまう。
「……なとり……っ。」
掠れた声が耳に届き、なとりは理性を完全に手放した。
な「……もっと……僕を呼んでください。」
欲望を剥き出しにした動きが重なり、互いの熱が溶け合っていく。
時間の感覚が失われるほどの行為の渦中で、なとりは確信していた。
理由はわからなくても、今夜の彼女は特別だ――
それを誰よりも自分が享受できていることに、抗いがたい喜びを覚えていた。
な「……もう離したくないです。」
最後は苦しげに吐息を洩らしながら、深く結ばれたまま言葉を落とす。
そして彼は、感度を増した女を抱き締めながら果てしなく求め続けた。