第10章 囁きに溺れて
柔らかいのに、酒の勢いで少し乱暴さを孕んだキス。
舌が絡み合い、甘い痺れが脳を満たしていく。
息を奪われ、頭が真っ白になったところで彼は名残惜しそうに唇を離した。
な「……もっと欲しいです。」
震える吐息混じりの声に、身体の奥が熱を帯びる。
彼の指が頬から首筋、鎖骨へと伝い衣服の隙間を探るように忍び込む。
熱を帯びた掌が肌に触れた瞬間、全身が跳ねた。
な「……やっぱり、あったかいですね。」
その言葉と共に、なとりの動きは加速する。
普段は穏やかで理性的な彼が今は熱に浮かされ、欲に忠実なまなざしを向けている。
な「……もっと、僕を見てください。」
甘く強引な囁きと共に彼は衣服を乱し、肌を重ね合わせていく。
触れられるたび酔いの熱と混じり、身体が自分のものではないように蕩けていく。
彼の口づけは優しく、時に荒々しい。
吸い付き、舌を這わせ、痕を刻みながら止めどなく求めてくる。
な「……たまらないです。」
吐息まじりの声が耳を打つ。
そしてついに深く一体となった瞬間、抑えきれない声が零れた。
「……んっ、あ……なとり……。」
彼は苦しげに息を吐きながらも、動きを止めない。
な「名前……呼んでくれると……もっと、嬉しいです。」
耳元で切なく囁くその声に、胸の奥が痺れる。
甘やかすように優しく、しかし時に乱暴に。
熱のこもった動きは女を翻弄し、理性を溶かしていった。
な「……僕、もう……ずっと我慢してました。」
吐き出すような告白と共に、深く求め続ける。
夜の静寂を破るのは、2人の荒い呼吸と絡み合う音だけ。
時間の感覚さえ失われ、ただ互いを貪る行為に身を委ねる。
彼の敬語混じりの甘い声が酔いの熱に濡れた空気の中でとろけ、耳に絡みついて離れなかった。