第9章 拒めない衝動
だが、なとりは優しく頭を撫でながらも時折ぐっと押さえ込むように手を添え女に深く味わわせた。
な「もっと……舌を使ってください。」
吐息混じりの声。
言葉は穏やかでも、女の動きを強引に誘導する仕草はどこか荒々しい。
女は息苦しさに涙を浮かべながらも、なとりの言葉に従い必死に舌を這わせる。
その従順さに彼は耐えきれず、震えるような吐息を漏らした。
な「……かわいいです……そのまま……。」
タツヤが横から眺めていた。
焦れたように舌打ちをしながら女の背中に手を伸ばし、衣服をさらに乱していく。
タ「……俺ばっか待たせんなよ。」
なとりはその動きを横目で見ながらも、女の頭を撫でる手を離さない。
な「大丈夫です。ゆっくりで……でも、もっとしてください。」
女の口元は濡れ、頬まで赤く染まっていた。
恥ずかしさと苦しさ、そしてなとりに褒められるたびに芽生える甘い熱。
そのすべてが混じり合って、もう逃げられない。
なとりは優しく女の髪を撫でながら、時折荒く腰を押しつける。
な「……そう、良い子です。もう少し……強く……してください。」
女の瞳には涙が滲み、肩が小さく震える。
それでも拒むことはできず、ただ従順に動きを続けるしかなかった。
なとりは堪えきれず、低く呻き声を洩らした。
な「……たまらないです……そのまま……。」
その声音には、普段の落ち着きからは想像できないほどの熱と荒さが混じっていた。
女が必死に舌を動かすたびに、なとりの冷静さは削られていく。
もはや余裕の微笑はなく目を細め、喉を震わせながら女を見下ろしている。
な「……俺だけ見てください。タツヤさんなんか、見なくて良いです。」
嫉妬を隠そうともしない言葉が零れる。
その瞬間、タツヤが堪えきれないように女の腰を掴み別の刺激を与え始めた。
女は2重に襲い掛かる快感に耐えられず、思わずなとりに縋るような瞳を向ける。
「……なとり……もう、だめ……。」
その声を聞いた瞬間、彼は女の顎をすくい上げ涙で濡れた顔に口づけを落とした。
強引で、けれども愛おしさを滲ませた深いキス。