第9章 拒めない衝動
な「まだ終わらせません……もっと俺にください。」
耳元に落ちるその囁きは優しいはずの声でありながら、女を逃さない鎖のように重かった。
女はその声に支配されるように頷き、再び舌を絡ませた。
なとりは愛おしそうに髪を撫で、時折強く押し込みながら荒々しさと優しさを交互に与えていった。
その夜、女は2人の間で翻弄されながらも、なとりの優しいけれど荒い支配に酔わされ限界を超えて溺れていった。
女の身体を抱き寄せるキタニの手は、いつになく強く爪先が肌に食い込むほどだった。
余裕を装っていたはずの彼が、もう理性を抑え込めないのだと女は息を詰めながら理解する。
タ「……もう、止まらねえわ。」
低く唸るように吐き捨てた声と同時に、腰の動きが荒くなる。
女はシーツにしがみつき、肩を大きく揺さぶられるようにして耐えるしかなかった。
なとりはその横顔を見つめ、眉を寄せながらも女の手を取って支える。
な「大丈夫です……俺がいますから……。」
囁きは優しい。
だがその声が届いているのかもわからないほど、女はキタニに翻弄されていた。
汗が額から滴り落ち、キタニの視線は女の顔に釘付けだ。
とろけた表情、乱れた呼吸、そのすべてが彼を駆り立てる。
タ「……こんな顔、俺以外に見せんなよ……。」
独占欲を滲ませた声に、女の胸が震える。
なとりがそっと頬に触れたその瞬間、キタニはさらに強く抱き締め奥深くまで突き上げた。
「やっ……! だめ……!」
女の声は震え、涙に濡れて掠れる。
しかしキタニは止まらない。
むしろ、その声さえ快感に変えてしまったように笑みを歪めた。
タ「……もっと啼けよ。かわいすぎんだろ……。」
彼の動きは荒々しく、けれど一瞬ごとに深さを増し女の中を抉るように攻め立てる。
女の爪が背中に食い込み必死に耐える様子に、なとりの胸も軋む。