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上書きしちゃった

第9章 拒めない衝動


タ「……待てない。」

その一言と同時に、女の身体は大きく跳ね上がった。

「――っあぁ……!」

痛みにも似た快感の叫びが狭い部屋に響く。

タツヤの動きは激しく、余裕を保ちながらもどこか乱れていた。

女を貪りながらも、その表情には切羽詰まった渇きが見え隠れする。

なとりはその光景を見つめながら唇を強く噛み、そして女の頬に触れる。

な「……俺を忘れないで。俺も、かやが欲しい。」

冷静な声色でありながら手は震え、瞳は熱に潤んでいる。

2人の間で、女は翻弄されるままに喘ぎ声を漏らす。

タツヤの荒々しい律動と、なとりの優しくも執着を孕んだ愛撫。

その2つが交差し、境界をなくしていく。

女は溺れるように2人の名を呼んだ。

「タツヤ……なとり……やだ、もう……っ。」

だが2人は止まらなかった。

タツヤは余裕を失いながらも深く求め、なとりは落ち着きを装いながらも冷静さを欠いて女に縋る。

その夜、女は2人の狭間で逃げ場をなくし、ただ熱に呑み込まれていった。






女の頬は赤く火照り、視線を逸らすように伏せられていた。

そんな彼女の顔を、なとりはゆっくりとした動作で両手に包み込み穏やかな声を落とす。

な「……俺のしてほしいんです。」

その言葉の意味に女は一瞬、理解が追いつかず瞬きを繰り返す。

しかし、なとりが少しだけ身体をずらし自分の中心を女の視線の高さに導いたことで、その意図を悟ってしまった。

「……そんな……。」

恥じらいに震える声が漏れる。

だがなとりは微笑を浮かべたまま、優しく髪を撫でる。

な「嫌ですか?」

囁きは穏やかで、けれど断る余地を与えない温度を帯びている。

女は首を振り、目を潤ませたままゆっくりと顔を近づけた。

躊躇いがちな唇の動きに、なとりは深く息を吸い堪えるように指先でソファを握る。

な「……そう、上手です……。」

彼の声が低く震えた。

最初は触れるだけのように柔らかな舌の動き。
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