第5章 君を映す歌
な「……好き、って言わせるから。」
耳元で囁かれたその一言は誓いのようで、挑発のようで。
次の瞬間、体の奥深くまで彼が入り込んでくる感覚に息が詰まった。
「っ……なとり……!」
名前を呼んでしまった途端、彼の瞳が一層熱を帯び笑みが深くなる。
な「また、僕の名前呼んでくれた。」
その声は嬉しそうで、幸せそうで……
そして、楽しそうに震えていた。
彼の腰が押し寄せるたび、息が乱れて喉が震える。
背中はソファに押し付けられ、逃げる隙もなく熱を刻まれていく。
な「……っ、きつい……でも……。」
耳元に落ちた声は、苦しそうなのに楽しそうで。
必死に耐えるように眉を寄せながら、それでも唇はかすかに笑みを帯びていた。
な「……あなたの全部が、欲しい……。」
そう囁きながら深く、強く。
彼の動きは次第にリズムを失い、衝動に任せたものへと変わっていく。
余裕のかけらもなく、ただ夢中で重ねられる熱に体が震える。
「なとり……もう……。」
名前を呼んでしまえば、彼はさらに嬉しそうに瞳を細める。
な「……呼んでくれるだけで……もう、だめだ。」
言葉の端が震えて、吐息が熱い。
その震えは、彼が限界に近づいている証だった。
な「もっと……声、聞かせて。」
腰を深く押し込むたびに彼の指が背に回り、抱きしめる力が強くなる。
絡め取られるように、抗う力が削がれていく。
「やだ……もう、無理……。」
弱々しい拒絶の声さえ、彼の耳には甘い誘いに聞こえるようで。
な「……かわいい。」
掠れた声で呟き、嬉しそうに口角を上げる。
次の瞬間、ひときわ深く突き上げられ思わず息が詰まる。
視界が滲んで、涙がこぼれそうになる。
な「……ごめん、でも……止まれない……。」
その言葉通り動きはさらに荒くなり彼の肩に爪を立てても、抱きしめる腕の力は緩まない。
ソファが軋む音と、2人の息づかいだけが部屋に満ちていく。
な「……好き……ほんとに……。」
耳元に落ちるその声は切なくて、狂おしくて胸の奥まで響く。
腰が打ち付けられるたびに限界まで引き裂かれるような感覚と、溶かされるような甘さが交互に押し寄せる。
涙がこぼれても、なとりは楽しそうにそれを指で拭って優しく口づけてきた。