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上書きしちゃった

第5章 君を映す歌


な「だめって言う顔、すごくかわいい。」

耳元で囁かれた声に、背筋が震えた。

嬉しそうで、楽しそうで、でも本気で止まる気はない声。

シャツの裾を掴まれ、指が中に滑り込む。

温かい手のひらが肌に触れるたび、体が反応してしまう。

自分の意思とは裏腹に、心臓の鼓動が速くなるのを止められない。

な「逃げられないでしょ、もう。」

「……っ。」

な「僕のこと、ちゃんと見て。」

彼の瞳に射抜かれる。

まるで“好きだ”と直接告げられているような視線に、息を飲んだ。

その熱に負けそうになり、反射的に顔を背ける。

けれど顎を指でつかまれ、無理やり視線を合わせられる。

な「照れてるのも、全部見たい。」

なとりの声は掠れて、震えているようで……

それでも楽しそうに響いていた。

腰にかけられた手がゆっくりと動き、体の奥に熱を広げていく。

息を乱すたびに、彼は嬉しそうに微笑む。

まるで、この瞬間を待ち望んでいた子供のように。

な「……ほんとに、止まれない。」

吐息混じりにそう言いながら、ベルトの金具に指をかける。

その動作さえ、どこか照れくさそうに笑いを含んでいる。

な「僕……こんな風に必死になるの、初めてかも。」

その言葉に、胸が強く跳ねた。

怖いはずなのに彼の瞳がまっすぐすぎて、息苦しいのに……

なぜか嬉しさが混じってしまう。

「……なとりくん、ほんとに……。」

言葉を最後まで紡ぐ前に、再び口を塞がれる。

深く、熱く、逃げ場を与えないキス。

ソファの上で押し倒されたまま彼の手が身体を愛おしむように、しかし我慢できない衝動を隠しきれずに触れていく。

触れられるたびに、自分が追い込まれていくのがわかる。

な「もっと……聞かせて。」

「なにを……。」

な「声。あなたの、全部。」

瞳を細め楽しそうに囁くその姿は、どこか子供っぽい無邪気さと大人の男の欲望が混じったようだった。

そのギャップに抗えず、胸の奥がかき乱される。

彼の腰がゆっくりと重なり、体温が一気に押し寄せる。

逃げることもできないまま、ただ熱に呑み込まれていく。
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