• テキストサイズ

上書きしちゃった

第3章 重なる夜


なとりは答えず、ただ息を整えるのに必死だった。

女の体を抱き締めたまま、余裕のない表情を見せている。

その姿が、タツヤの中に妙な優越感と同時に焦燥を呼び起こす。

タツヤは女の涙を指先で拭い取り、顎を持ち上げるようにして顔を覗き込んだ。

タ「……泣いてんな。でも、これからが本番。」

女が小さく首を振る。

「や、だ……もう……むり……。」

その弱々しい声は、タツヤの欲をさらに刺激した。

タ「無理じゃない。……お前はまだ、俺を受け入れてない。」

低く囁くと、タツヤは静かにベルトを外し衣擦れの音を立てる。

なとりの残した温もりの中に自らを押し当て、ゆっくりと腰を進める。

「……っ……!」

女は息を詰め、強くシーツを握り締めた。

なとりで既に疲弊しきっている体に、さらに新しい熱が押し込まれていく。

「やぁ……タツヤ……だめ……っ。」

涙に濡れた声で名を呼ぶ。

その響きが、タツヤの余裕を削り取っていく。

タ「……そんな声で俺を呼ぶな。……余裕がなくなる。」

低く唸るような声と共に、彼は深く沈み込む。

ゆっくりと、だが容赦なく奥へと到達する。

「……っ……あ……っ。」

女の体が跳ね、涙が頬を伝う。

タツヤはその涙を舌で舐め取り、耳元に唇を寄せた。

タ「泣いても、もう止められない。俺はお前を最後まで欲しがる。」

その言葉に女の背が震える。

なとりとは違う、余裕と冷静さを装った深い責めに意識が追いつかない。

「……っ、んぁ……!」

声が掠れ、呼吸が乱れる。

なとりは隣でまだ息を整えながらも、その光景を見て歯を食いしばる。

自分が果てた直後に、女がタツヤに翻弄されていく。

その姿が悔しく、胸をかき乱す。

「……タツヤ……。」

かすれた声で呼ぶ女に、タツヤは笑みを浮かべる。
/ 247ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp