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上書きしちゃった

第3章 重なる夜


な「もっと……もっと俺を感じて……!」

女は2人に翻弄され、もはや自分の声すら制御できなかった。

涙に濡れ、乱れた髪を振り乱しながら2人の間で揺さぶられる。

タツヤの平静はもう完全に崩れかけていた。

余裕の仮面を被りながらも、女を求める手つきは荒々しさを帯びる。

タ「……なとりばかりに任せてられないな。」
嫉妬に滲む声でそう呟き、女の腰を引き寄せる。

その動きに、なとりが悔しげに唇を噛みながらもさらに深く突き込む。

な「……負けない……。」

なとりの荒い声。

2人の男が互いを意識しながら、女の体を通して競い合う。

翻弄される女はただ涙を流し、声を震わせるしかなかった。

「やぁ……っ、むり……もう……。」

だが、2人の男にとってその声は拒絶ではなく甘美な悲鳴でしかなかった。

タ「もっと聞かせて。俺の名前を……!」

な「……俺だけを見て……!」

重なる声が女を縛り、熱に溺れさせていく。

そして夜はまだ、果てを知らぬほどに続いていった――。






なとりの荒い息は次第に限界へと近づいていた。

女の体にしがみつき、深く沈み込むたびに全身から熱があふれ出していく。

な「……だめだ……もう……っ。」

焦燥に満ちた声。

掠れた吐息が女の耳を灼き、汗に濡れた額が肩に押し付けられる。

律動は荒く、抑えの利かない獣のようだった。

「なとり……っ。」

女の声は涙に濡れ、必死に呼びかける。

だが、なとりはその声すら煽りとしか受け取れず限界に達した体を止められなかった。

な「……あ……っ、もう……!」

震える声と共に、なとりは女の奥で果てた。

全身を強張らせ、彼女を抱き締める腕がさらに強くなる。

女の体内に熱が広がり、息を詰める。

「……っ……。」

吐き出す声は、涙と共に震えた。

なとりは荒い息を繰り返し、女にしがみついたまましばらく動けなかった。

力が抜け肩が落ち、ただ女の温もりに縋るように体を預ける。

その様子を、タツヤは冷静なようでいて鋭い瞳で見つめていた。

頬に浮かぶのは、僅かな嫉妬と苛立ち。

だが彼はそれを顔に出さず、口元に笑みを刻む。

タ「……先に終わるなんてらしくないな、なとり。」

低い声が、冷ややかに響く。
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