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上書きしちゃった

第27章 また3人で


【週刊誌関係者から問い合わせが入った。詳細はまだ掴めていないが、あなたたちの私生活を追っている可能性がある。外出には十分注意を】

「……どうして……。」
 
女の声はかすれ、ソファの背にもたれ掛かるしかなかった。

これまでの数か月、事件や騒動が重なって、ようやく平穏を取り戻したばかりだというのに。

今度は週刊誌。

なとりは額に手を押し当て、悔しそうに歯を食いしばった。

な「……誰が漏らしたんだろうな。あのバンドマンの件もあるし、歌い手のことも……疑われても仕方ない。俺たちが守れなかったせいだ。」

「違う……そんなこと言わないで。」

女は慌てて首を振る。

だが心の奥では否定できない思いもあった。

あの騒動のせいで、注目を集めてしまったのは事実。

取材対象として狙われてもおかしくない。

「もし記事になったら……どうなるんだろう。」

ぽつりとつぶやくと、なとりがはっと顔を上げた。

な「そんなこと、考えるな。まだ確定じゃない。」

だがその声には、自分自身を無理に奮い立たせる響きがあった。

リビングの時計の秒針がやけに大きく響く。

女は膝を抱え込み、視線を床に落とした。

頭の中では最悪のシナリオが次々と浮かんでしまう。

記事になれば、ファンはどう思うだろう。

仕事は。

周囲の信頼は。

「……私、迷惑かけてばかりだね。」

自嘲するようにこぼすと、なとりは即座に首を横に振った。

な「違う。全部、俺たちが一緒に選んだことだ。かやだけの責任じゃない。」

その言葉に胸が熱くなる。

だが同時に、これから待ち受けるであろう現実の重さに押し潰されそうになる。

「どうすれば良いの……? もし記者に突き止められたら、隠し通すことなんてできない……。」

な「だから、俺が守る。どんなことがあっても。」

なとりはそう言い切り、女の手を強く握った。

指先の震えが伝わってくる。

その震えは女の心の中の恐怖とシンクロしていた。

リビングの空気は重く、窓の外の夜の静けさが余計に不安を募らせる。

「……これから、どうなるんだろう。」

声に出した瞬間、女の胸に押し寄せたのは底知れぬ不安と逃げ場のない運命の気配だった。
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