第25章 曖昧な幸せ

だが終わりを告げる間もなく、なとりが彼女の横に身体を滑り込ませた。

な「……次は俺。」

低く囁いたかと思うと、まだ余韻に呆然とする女の脚を開き濡れたそこへ容赦なく自身を押し込んだ。

「や、まっ……！　そんな、続け……っ。」

抵抗の言葉は、深く突き入れられる衝撃に掻き消される。

キタニの熱が残る中を、なとりの硬さが貫き別の熱が女の身体を支配する。

な「……ああ、すごい……かやの中……まだ熱い……。」

なとりは陶然とした声で呟きながら、強く腰を打ちつける。

女はシーツを握りしめ、涙で濡れた頬を左右に振る。

「……やぁ……もう無理……っ、お願い……！」

しかし耳を貸すどころか、なとりの瞳はさらに深い興奮で揺れていた。

な「泣きながら感じてる顔……ほんとに綺麗だよ……。」

その言葉と共に敏感なところを擦り上げられ、女の身体は勝手に跳ね上がる。

「ちが……っ、こんなの……！」

必死に抗う声は、震える快感に裏切られる。

奥を突かれるたびに甘い声が零れ、なとりはそれを聞き逃さずさらに荒々しくなる。

な「……もう、俺も……っ。」

なとりの息が荒くなり、打ちつける動きが速さを増す。

女の中はすでに灼けるように熱く、果てに近い彼の鼓動が伝わってくる。

「やっ……あ、ああ……っ！」

女の背筋が反り返り、涙と汗に濡れた顔を晒す。

次の瞬間、なとりが深く押し込んだまま全身を震わせ喉から声を漏らす。

な「…………っ、かやの中で……！」

熱が奥深くに注ぎ込まれ、女はその感覚に痙攣しながら震え続けた。

――終わった、はずなのに。

ふたりの荒い息遣いに挟まれ身体はまだ火照り、震えは収まらない。

恐怖と快楽の余韻に翻弄されながら、女はシーツに縫いつけられるように横たわるしかなかった。

タ「……これで少しはわかったか？」

キタニが低く笑い、まだ荒い息を吐きながら肩越しに言う。

タ「俺らを裏切るってどういうことか。」

なとりも隣で微笑み、女の濡れた髪を指で梳く。

な「……もう、どこにも行かせない。かやは俺たちのものだから。」

女は答えられず、ただ熱と涙に揺れる瞳を閉じることしかできなかった。