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上書きしちゃった

第25章 曖昧な幸せ


「タツヤ、待って……!」

必死の訴えは、彼の耳には届かない。

寝室のドアが乱暴に開かれ、ベッドの上へと女の身体が投げ出される。

シーツが大きく波打ち、背中に冷たい感触が広がる。

見下ろすキタニの瞳には怒りと独占欲、そして――

意地悪な色気が入り混じっていた。

タ「お仕置きだな。」

その一言に、女の心臓が大きく跳ねた。

振り返れば、なとりもベッド脇に立っていた。

先ほどの怒りに揺れる表情のまま、それでもキタニと目を交わし黙って頷いている。

「や、やめて……。」

か細い声で懇願するが、2人の男たちは止まらない。

キタニが女の両手首を掴み、ベッドに押さえつける。

タ「俺らの気持ちを軽く扱った罰だ。覚悟しろ。」

なとりがその横に腰を下ろし、女の頬を撫でる。

だがその仕草にはいつもの優しさではなく、強い苛立ちと執着が滲んでいる。

な「……逃がさない。今夜は絶対に。」

視線が交わり、2人の男の呼吸が重なっていく。

女の胸が早鐘のように打ち、身体が熱を帯びていく。

抵抗の言葉を探すたび、2人の視線に射抜かれ喉が詰まる。

次第に、シーツの上に横たわる女の全身は彼らの熱に絡め取られていった――。






ベッドの上に押し倒され、両手首を掴まれたままの女は必死に身をよじろうとした。

だがキタニの力は強く、細い手首はシーツに縫い付けられたように動かせない。

「離して……タツヤ……。」
 
震える声は、逆に彼の瞳を深く熱くさせる。

タ「離すわけねえだろ。お前は俺たちのものなんだから。」

吐息まじりの声が耳元に落ちる。

熱を孕んだその声に、背筋が震える。

なとりが横から女の頬を撫で、涙を浮かべた目を覗き込む。

な「ほんと、こんなに好きなのに……どうして他のやつを見れるの。」

優しい声音の裏に、嫉妬と独占欲がにじむ。

指先が頬をなぞり、唇へと触れる。

そのまま口づけを落とされ、声を塞がれた。

キタニの手は女の衣服を乱暴に剥ぎ取っていく。

シャツのボタンが弾け、素肌に冷たい空気が触れる。

「……ん、やっ……。」

抗う声は、2人にとってむしろ甘い合図にしかならなかった。
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