第3章 重なる夜
タ「……そんなふうに呼ばれたら、俺だって我慢できなくなる。」
その言葉と同時に、タツヤの指が胸元を捉え布越しに形をなぞる。
敏感になっている身体は小さな刺激にも過剰に反応し、女の背が弓なりに反った。
「んぁ……っ。」
熱に濡れた声が喉から洩れる。
なとりはその声に我を失ったように顔を埋め、首筋に激しく口づけを落とす。
吸い付くように舌を這わせ、歯を立て、赤い痕を刻む。
な「……全部、俺の……。」
掠れた声で呟きながら、女を自分のものだと刻みつけるように首筋をむさぼる。
タ「落ち着けよ、なとり。」
タツヤが低く笑う。
その余裕ある声音に、なとりは苛立つように顔を上げた。
な「無理……こんなの、止まれない……。」
言葉通り、なとりの動きは激しく止まる気配がない。
震える手で衣服を乱し、布を剥ぐようにして女の肌を露わにしていく。
荒々しい熱が容赦なく注がれ、女はただシーツを掴み翻弄されるしかなかった。
だが、タツヤの手つきはなおも冷静だった。
露わになった肌に指を這わせ、ゆっくりと焦らす。
熱に飲み込まれるなとりの隣で、タツヤだけが狩人のような余裕を見せていた。
タ「……ほら、感じてる。」
撫でられた箇所が痙攣するように震え、女は声を詰まらせる。
「ちが……や、だって……。」
言葉では拒んでも、体は敏感に反応する。
その矛盾が、2人の男をさらに昂らせた。
なとりは喘ぐ女の声を逃すまいと唇を重ね、舌で貪る。
荒く求める熱に、女は押し潰されるように震える。
「ん……やぁ……っ。」
涙がにじみ、頬を濡らす。
タツヤはその涙さえ指先で拭い取り、低く囁く。
タ「泣きながら俺を呼ぶなんて……可愛いな。もっと、聞かせろ。」
耳元に落ちる声が、女の心を揺らす。
なとりはすでに欲望に支配され、女を抱きしめる腕も強すぎるほどだった。
対してタツヤは余裕を見せながらも確実に支配し、女の感覚を逃さず掌握していく。
荒々しさと余裕。
その両極から責め立てられ、女の体は限界を超えて震えた。
「タツヤ……や……ぁ……なとり……っ。」
2人の名を呼ぶ声が、熱に滲む。