第23章 絡み合う影
「や、だって……。」
タ「だって?」
唇を離し、彼が意地悪そうに問いかける。
酔いが残る頭で、上手く言葉を繋げない。
そのもどかしさに頬が赤く染まり、視線を逸らそうとすると彼がさらに追い打ちをかけるように囁いた。
タ「……さっきの勢いはどうした?」
いたずらっぽい笑みと共に、腰を押し付けられる。
硬くなった熱が布越しに当たり、その存在を否応なく意識させられた。
全身が震え、理性が溶けていく。
「ん……っ、そんなこと……。」
タ「そんなこと?」
追い詰めるように繰り返す彼の声は甘く、しかし逃げ場を塞ぐ鎖のようだった。
息を荒げながら、女は震える指先を彼の背に回す。
“もう良い”と言いたいのに、唇から洩れるのはか細い喘ぎだけ。
キタニはその様子を満足げに眺め喉を鳴らすと、ゆっくりと腰を動かした。
布と布が擦れ合い、熱がじわじわと高まる。
タ「……ほら、言っただろ。止まれなくなるって。」
その言葉通り、彼はもう抑えを外していた。
スカートをめくり上げる指先が冷たく感じるほど、身体が火照っている。
「……っ、や……。」
弱い拒絶の声。
けれどその声に力はなく、彼を止めることはできなかった。
下着越しに指が触れるたび、腰が勝手に揺れてしまう。
理性と裏腹に、身体は欲しがっていた。
タ「声、我慢できないくせに……。」
耳元でそう囁かれる。
羞恥で頬が熱くなるが、同時に甘美な快感に全身が痺れる。
何度も舌で唇を舐め、必死に声を抑えようとするもキタニの挑発は止まらない。
タ「さっきは自分から舐めてきただろ。今度は俺から、全部もらうからな。」
そう告げると同時に下着が乱暴に引き下ろされ、冷たい空気が肌に触れた。
羞恥に思わず脚を閉じようとするが、彼に押し広げられてしまう。
「……っ、やめ……っ。」
タ「やめて欲しいのか? 本気でそう思ってる?」
問われて答えられない。
心の奥では、拒否する気持ちよりも彼を受け入れたい気持ちが強くなっている。
自分でもそれを認めてしまいそうで、喉が詰まる。