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上書きしちゃった

第22章 理性を閉じ込めて


唇が首筋をなぞるたびに、抑えきれない声が喉の奥から零れ落ちる。

「ん……っ。」

小さなその音に、自分でも息を呑んだ。

次の瞬間、耳元に落ちる声。

な「……起きてたでしょ?」

いたずらを仕掛けるような囁き。

心臓が跳ねて、全身が強張る。

目を閉じたまま必死に首を振る。

「ち、違う……。」

か細い否定。

だがその声すら、欲望に煽られているように聞こえてしまう。

なとりはふっと笑った。

その笑みはどこか切なく、けれど欲に支配されていた。

な「じゃあ、寝言ってことにするね。」

そう言って、覆いかぶさる体重が増す。

布団の中で逃げ場はなく、温もりに押し潰されていく。

唇が再び重なり、舌が無理やり入り込んでくる。

甘く、苦しく絡め取られる。

「ん……っ、や……。」

否定の言葉も、舌の奥で掻き消される。

手はすでに身体の奥深くを探り布を乱し、敏感な場所をなぞってくる。

熱が走り、背筋が反る。

な「……こんなに反応してるのに、違うなんて言わせない。」

囁きが耳をくすぐり、全身が震えた。

女は必死に顔を背けるが、その頬を指で挟まれ視線を絡め取られる。

瞳の奥に映るのは、我慢をすべて捨てた男の色。

な「俺の気持ち、ちゃんと感じて。」

その言葉と共に、身体は深く繋がれていく。

熱が押し寄せ、否定の声は甘い声へと変わってしまう。

「ちが……うって……言ってるのに……。」

な「声が全然違う。嬉しそうに聞こえるよ。」

いたずらめいた囁きがまた耳に落ちる。

そのたびに胸の奥が震え、身体は逆らえなくなる。

女は涙のにじむ瞳で彼を見上げながら、なおも必死に言葉を繋ぐ。

「……ちが、う……。」

な「違わない。俺だから、だろ?」

否定と快感が絡み合い、答えを失っていく。

全身を貫く熱に呑み込まれ、抗えぬまま女は彼の腕の中で甘く揺さぶられ続けた。
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