第22章 理性を閉じ込めて
な「……こんなに好きなのに。」
心臓が跳ねる。
けれど身体は動かせない。
動かせば、寝たふりをしていたことがばれてしまう。
な「俺の気持ちは……どうなるの。」
言葉が痛いほどに胸を突いた。
切なさと、抑えきれない苛立ちが混じった声音。
彼がどれだけ想いを募らせていたのか、その一端が垣間見えてしまう。
布団越しに伸びてきた指が、そっと肩に触れる。
それは一瞬ためらった後、より強く布地を掴んだ。
な「……ごめん。もう、我慢できない。」
その囁きの直後、シーツが乱暴に捲られた。
冷たい空気が肌に触れ、思わず身震いする。
しかし目は閉じたまま、眠ったふりを続ける。
なとりの手が髪を撫で、頬をなぞり首筋を辿る。
優しいはずの動きが、どこか必死で荒々しい。
溜め込んでいた感情が、抑えきれずに溢れ出していた。
唇が触れる。
柔らかくも強引な口づけ。
寝ている相手に向けるものではない、抑制を失った熱。
胸の鼓動が耳まで響き、寝たふりをしていることを忘れそうになる。
けれど抗えない。
彼の唇が頬から首筋へ、鎖骨へと降りていく。
布地が乱れ、肩口が露わにされる。
その肌に熱い吐息が掛かり、ぞくりと震えが走った。
な「……ずっと、こうしたかった。」
吐き出すような声。
胸を握りしめる手が、焦燥と欲望に震えているのが伝わる。
女は目を閉じたまま、呼吸を乱しながらそれを受け入れるしかなかった。
否応なく、彼の熱と愛情に包み込まれていく――。