第22章 理性を閉じ込めて
歌《今日はありがとう。またコラボしよう》
たったそれだけなのに、胸の奥が一気に熱に満たされていく。
自分を思い出してくれた。
一緒に歌った時間を“また”と繋げてくれる。
その事実が、ただ嬉しくてたまらなかった。
無意識に笑みがこぼれる。
湯気で曇る鏡に映った自分の頬が、桜色に染まっていた。
どうしよう、嬉しい。
この気持ちを言葉にしてしまいたい。
指が自然に動き、返信を打ち込む。
《こちらこそ、今日は本当に楽しかったです。またぜひお願いします》
送信ボタンを押した後もしばらく胸の高鳴りは収まらなかった。
こんな気持ち、久しく味わっていなかった。
ただの憧れじゃない。
リスペクトだけでもない。
……これは、きっと恋だ。
頭の中で言葉が形になった瞬間、心臓がさらに熱を帯びる。
歌うことが好きで、声が好きで、その人の存在そのものに惹かれている。
あの笑顔を思い出すたび、体温が上がってしまう。
湯船の中で小さく身をよじった。
胸の奥がくすぐったくて、どうしようもない。
だが、次の瞬間。