第2章 譲れない想い
タ「……過敏になってるな。酔ってるからか?」
彼の低い呟きが、耳をかすめる。
そしてなとりもまた、唇を離した合間に荒い息を吐きながら同じことを言った。
な「かわいい……触れるだけで、震えてる。」
その言葉に女の心臓は爆発しそうになり、堪らず口を突いて出た。
「……やだ。」
か細い声で、それでも必死に。
一瞬、時間が止まったように見えた。
タツヤの表情がわずかに曇り、手が止まる。
タ「……無理させる気はない。やめようか。」
本気で制止しようとする声音だった。
だが、なとりは震える声で絞り出すように言った。
な「……俺は、止まれない。」
その瞳は熱に濡れ、もう引き返す余裕などなかった。
彼は女の頬を両手で包み込み、再び口づけを深く重ねる。
タツヤは一瞬だけ目を細めた。
その背後に立ち、彼女を見下ろしながら舌打ちのように小さく息を吐く。
タ「……仕方ねぇな。俺も止められそうにない。」
その声は苦笑混じりでありながらも瞳は熱を帯び、抑制の糸が切れかけていた。
女の視界が揺れる。
ベッドに押し倒される形で、左右から2人の熱が迫ってくる。
なとりの強引さと、タツヤの余裕めいた支配。
2人の異なる熱が交差して、彼女の体を容易く翻弄していく。
「……タツヤ……。」
無意識に名前を呼んでしまった。
するとタツヤは嬉しそうに口角を上げ、指先で女の頬をなぞる。