第18章 密室に沈む
な「お前なぁ……。」
苦笑しながらも、腕は彼女を押し返せない。
むしろ彼女の指が無意識に胸元をつかみ、すり寄ってくるたびに堪えていた何かが少しずつ崩れていった。
「なとり……あったかい……。」
眠そうな瞳で見上げられた瞬間、心臓が跳ねる。
――ダメだ、我慢できない。
なとりは衝動のままに彼女の腕をつかみ、ぐっと引き寄せた。
驚いたように小さな声を漏らす彼女をそのままベッドに押し倒す。
「な、とり……?」
困惑と酔いで潤んだ瞳が揺れる。
な「……もう、無理。」
絞り出すように言いながら、なとりは彼女を見下ろした。
な「さっきから俺を試してんの? そんな顔で甘えて……抱きしめるだけで済むわけないだろ。」
彼女の手がシーツを握りしめる。
酔った頬に、触れる息が熱く掛かる。
な「嫌なら、言って。」
低い声でそう告げながらも、腕は緩まない。
むしろ身体を覆いかぶせ、逃げ場を塞ぐ。
女は一瞬だけ目を伏せ、そして小さく首を横に振った。
その仕草を見た瞬間、なとりの理性は完全に切れた。
な「……ごめん。もう止まれない。」
言葉の代わりに彼女の唇を奪う。
柔らかさに飲み込まれるように、胸の奥で燻っていた渇望が一気に溢れ出す。
酔った彼女は抵抗することもなく、むしろ身を委ねるように指先でなとりの背を探った。
ベッドのスプリングが軋む音と、2人の荒い息づかいが混ざり合う。
夜の静寂に、止められない熱が溶けていく。
――理性も、正しさも、すべてどうでもよくなるほどに。