第18章 密室に沈む
軽い。
だが、その温もりと柔らかさに心臓が跳ね上がる。
な「……おやすみ。」
そう言って寝室へ運び、そっとベッドに横たえる。
布団を掛け直し、彼女の額から流れ落ちる髪を指で払う。
無防備に眠る顔に、思わず見入ってしまう。
な「……俺だって、男なんだけどな。」
苦笑混じりの呟きは、眠る彼女には届かない。
彼はしばらくその場に立ち尽くし、やがて深い溜息を吐いた。
そして静かに部屋を出ていった。
背中に残るぬくもりと、どうしようもなく膨れあがった想いを抱えたまま。
湯上がりの蒸気をまとった身体をバスタオルで拭きながら、なとりは静かにリビングから寝室へと歩いた。
さっきまでソファで泥酔していた彼女は、もうぐっすり眠っているだろうと思っていた。
――そうじゃなきゃ困る。
自分の心臓がまだ落ち着かないのを感じながら、髪をタオルで乱暴に拭く。
な「……はぁ、まいったな。」
誰にも聞こえない声で呟きながら寝室の前に立った。
扉を開けると布団の上に横たわるはずの彼女が、上半身を起こしていた。
「……あれ、なとり……?」
眠そうな目をこすりながら、ふらふらとこちらに視線を向ける。
頬はまだ赤く、酒の熱が抜けていないのが1目でわかった。
な「お前……まだ起きてたの?」
なとりは眉をひそめた。
「ん……なんか、さみしくて……。」
小さな声で言うと彼女は布団から抜け出し、裸足のまま近づいてくる。
な「ちょ、ちょっと。まだ酔ってるでしょ。」
制止の言葉も聞かず、彼女はなとりの胸にふにゃりともたれ掛かった。
「ねぇ……一緒に寝よ……。」
甘えるような声。
髪から香るシャンプーの匂いに、なとりの喉が鳴る。
彼女の体温がバスタオル越しに伝わり、理性を乱す。