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上書きしちゃった

第18章 密室に沈む


低く抑えた声の奥に、怒りがはっきりと滲んでいる。

タ「誰だよ、それ。目星は?」

真剣な眼差しで問い詰められ、かやは首を振る。

「わからない。ただ、気のせいかもしれないけど……でも、すごく怖くて。」

小さく告げると、彼は拳を握り締め、すぐに言った。

タ「……だったら、一緒に住まないか。」

「え?」

思わず声が裏返る。

タ「お前が不安なら、俺が近くにいれば良い。部屋、余ってるし。」

言い切る声は強く、反論を許さないような迫力があった。

だがその言葉にすぐさま反応したのは、隣に座っていたなとりだった。

な「……あーあ、やっぱりタツヤさんがそう言うと思いました。」

彼はわざとらしく溜息をつき、にやりと笑みを浮かべる。

な「じゃあさ、それなら俺も一緒に住みます。」

タ「は?」

キタニの声が低くなる。

タ「なんでお前が出てくんだよ。」

な「だってさぁ、危ないんですよね?心配です。僕だって守りたいんです。」

なとりは軽い調子で言うが、その瞳の奥には真剣さが見え隠れしていた。

な「2人より3人の方が安全です。……そう思わない?」

視線がかやに向けられる。

どちらも譲る気はないようだった。

「ちょ、ちょっと待って。2人とも……。」

慌てて声を上げるが、彼らの議論は止まらない。

タ「俺がいれば十分だ。」

な「いやいや、1人で完璧に守れるわけないですよ?協力した方が早いです。」

タ「お前がいる方が面倒だ。」

な「へぇ?じゃあ僕がいたら困ることでもあるんですか?」

火花を散らすようなやり取りに、かやはますます言葉を失った。

「……でも、さすがに3人で一緒に暮らすなんて。」

ようやく声を絞り出すが、2人は同時にかやの言葉を遮った。

な「良いじゃん。」

タ「問題ねぇだろ。」

完全に声が重なった。

2人の視線がこちらに注がれ、かやは息を詰める。

――断れない。
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