第18章 密室に沈む
依然としてかやを抱き寄せたまま、挑発するようにキタニを見返していた。
観覧車は最頂点に差し掛かっていた。
窓の外には広がる夕焼けと街の灯りが煌めき、ゴンドラの中の緊張感を余計に際立たせる。
かやは2人の視線の間で息を詰める。
――なぜ、こんな形で3人きりになってしまったんだろう。
心臓は早鐘のように鳴り、視線を逸らすことしかできなかった。
観覧車は静かに頂点を越え、ゆっくりと下降していく。
けれど3人の間に流れる張りつめた空気は、さらに重く深まっていった。
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数日後。
朝からどこか落ち着かない気分のまま仕事を終えたかやは自宅へと戻る電車の中で、ずっと胸の奥に渦巻いていた不安を抱えていた。
――最近、妙な気配を感じる。
夜道を歩いていると、誰かに視線を向けられている気がする。
すれ違う人が振り返ってかやを見ていたように思える。
ポストに入るはずのないチラシが何度も同じ日に差し込まれている。
気のせいかもしれない。
でも、もしそうじゃなかったら。
不安は日に日に膨らみ、ついにかやは2人に相談する決心をした。
その夜。
カフェの奥のソファ席に腰掛け、かやはキタニとなとりに事情を話した。
2人とも黙って耳を傾けていたが、かやが
「最近、ストーカー被害に遭ってるかもしれない。」
と言い切ると、雰囲気が一変した。
タ「……は?」
最初に声を上げたのはキタニだった。