第17章 閉ざされた扉の向こう
次に向かったのはアミューズメント施設。
UFOキャッチャーに夢中になるなとりは、景品が取れなくても
な「もう1回!」
と明るく笑う。
一方キタニは不器用ながら1度でぬいぐるみを引き当て、そのまま無言でかやに差し出した。
「え、良いの?」
タ「別に。いらないし。」
ぶっきらぼうな言葉の裏に、微かな照れが混ざっている気がした。
その後も3人でボウリングをしたり、フードコートで並んで食事をしたり。
なとりは場を明るく盛り上げ、キタニは言葉少なでもさりげなく気遣ってくれる。
2人の対照的な優しさに包まれ、かやはどんどん居心地をなくしていった。
――この関係、いつまで続けられるんだろう。
ふと胸の奥に不安が広がる。
でも2人の笑顔を見ると、その答えを探すのが怖くなった。
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夕暮れ。
観覧車に乗ろうと提案したのはなとりだった。
な「3人で乗るのって面白そうじゃない?」
彼がチケットを差し出し、かやとキタニは無言でそれを受け取った。
カゴに入ると街の喧騒が少しずつ遠のき、静寂が降りてくる。
窓の外には夕焼けと街の灯りが混ざり合う景色。
なとりは無邪気に
な「きれいだなぁ。」
と言って写真を撮り、かやは窓に顔を近づける。
その横で、キタニは黙ったままかやの手を握った。
驚いて振り返ると彼は目を逸らし、無言で握りしめる力を強める。
な「……ずるいな。」
不意に漏れた言葉に振り向くと、なとりが苦笑していた。
な「僕だって手をつなぎたいのに。」
空気が張りつめる。
観覧車の小さな空間に、3人の鼓動だけが響いていた。
かやは2人の視線を受け止めきれず、ただ窓の外に視線を逃がした。
――この1日が終わってしまったら、きっともっと迷う。
けれど今は、この時間に身を任せるしかなかった。
観覧車がゆっくりと上昇し、3人の関係もまた揺らぎながら高みに引き上げられていった。