第16章 揺れる境界線
タ「……さっきのこと、言い訳できるのか。」
低く、かすれた声。
押し殺した怒りと嫉妬が滲み、耳元に突き刺さる。
「ち、違うの……。」
必死に言葉を探すが、彼は聞こうとしない。
タ「違わねえだろ。俺の目の前で、あんな……。」
強く顎を掴まれ、無理やり顔を上げさせられる。
睨みつける瞳は熱を帯び、怒りと同時にどうしようもない渇望が混ざっていた。
タ「……俺以外のやつに、触れられてる声、出してた。」
「そ、そんなつもりじゃ……。」
タ「黙れ。」
唇を塞がれる。
乱暴で、支配的なキス。
舌が容赦なく押し入り、呼吸を奪う。
逃れようとする腕を掴まれ、壁に縫いとめられる。
声をあげても届かない。
彼の強い吐息が口内に流れ込み、思考が掻き消されていく。
タ「……俺の前で、他の男に……。」
噛みつくように言いながら、唇を離す。
首筋に熱い吐息が掛かり、ぞくりと震えが走った。
タ「そんな真似して……許されると思ってんのか。」
手が腰に回り、服の布地を掴む。
ぐいと持ち上げられ、素肌に触れる指先が鋭く感じられる。
「や……待って……。」
か細い声で訴えるが、彼の耳には届かない。
むしろ、その声すら彼の欲望を煽ってしまう。
タ「待てない。もう我慢できない。」
強い言葉と共に背中を壁に押し付けられ、身体ごと支配される。
胸元を荒く撫でられ、唇を貪られ息が苦しいほどに深く舌を絡められる。