第11章 諦めない婚約者
ご両親たちにその話をすると、仕方ありませんねと言われて、私は頭を下げた。
どうやら、私が庶民というのはもう言及はしないようだ。
「五条家の御先祖が奏音さんの御先祖様と関係があったのなら、御子神家はただの庶民ではない。今まで蔑ろにしてすまなかった。」
悟くんのお父さんが喋った。
「そうですね。御子神家は私たちがなにより大切にしなければいけない一族です。」
どうして今まであの情報は五条家で封印されていたのだろう。
実は悟くんが見ていた書物は書庫の奥に封印されていた。
それを悟くんが何も考えずに開いた。
ずっと黙っていた雫さんはただ呆然としていた。
「雫さん、あなたは本当に悟くんが好きなのですか?」
「え?……いや、悟が好きとかそういうのじゃなくて…悟と結婚したら自分の女としての格が上がると思ったのよ。だってこんな見た目をしてるのよ?」
ご両親が認めてしまった以上、これ以上足掻いても惨めになるだけだからと、謝られる。
「でも!まだ諦めないわ。」
なんで好きでもないのに諦めてくれないのだ…。
「奏音ちゃんを大切にしている悟を見てたら好きになっちゃった。だからこれからは、左雨家の令嬢としてではなく、ただの女として惨めに追いかけ続けるわ。」
さっきは惨めになるだけとか言ってたのに…。
雫さんが悟くんを好きでいることは百歩譲って我慢出来るとして、今朝みたいなことをされては我慢出来ない。
変なことはしないでくださいねと釘を刺した。
悟くんは雫さんを家まで送り、そのまま家へと帰った。