第11章 諦めない婚約者
「目合いを重ねる度に呪力が回復し、術式がより強力になる、ね…なに?君、最強じゃん。いっぱい僕と目合おうね。」
ま、目合おうね!?
還魂の術の対象者は術者と身体を重ねる度に消費した呪力を即座に回復し、術式の強度が上がる。
それは嬉しいことだ……だがその後に書かれていることも気になる。
「僕、もっと奏音のこと好きになっちゃうんだねぇ…今よりって、僕どうなっちゃうんだろ〜。奏音の顔見ただけで射精しちゃうとか?」
何を言ってるんだ。
そんなの、有り得るはずないだろう。
「確かに、奏音とした後、もっと好きになっちゃったもんなぁ…ほんと、仕事行くのもやだよ。」
これ以上好きなってもらえたとして、それは術のせいで、悟くんの気持ちではない。
うーんでも…実際私もしてからもっと好きになってるから、それは普通のことなのかな…。
「悟くんが自分で戻りたいって言ったんじゃん…。」
「だって、死ぬまで奏音を幸せにし続けるにはお金が必要じゃん?それに、ずっと一緒にいたら家族も増えるでしょ?」
確かに仕事はした方がいいけど、悟くんの貯金額なら死ぬまで普通に暮らせると思うのだが…。
別に呪術師じゃなくても…と言おうとしたが、悟くんはずっとその世界にいた、今更別の仕事をしても長くは続かないだろうと思い、口にはしなかった。
「まあこれをあの人たちに見せれば、もううるさく言ってこないでしょ……ねっ?」
ちゅっと口付けられ、そうだといいなと私からも口付けた。
五条家の本家でこんなことをするなんて…と思ったが、美しい笑顔に惹かれてしまった。