第3章 看病の日々の中
ご飯を食べさせていると名前を呼ばれて、返事をし目を合わせる。
「奏音、あ…ありがとう…。」
「え……えっ、えっ?なんで泣くの!?別にいいんだよ?私も悟くんに助けてもらったから、今生きてるわけだし…。」
涙を流した彼を見て慌てて、大丈夫だよと抱き締めた。
何度も掠れた声で名前を呼んでくれる彼を愛しいと思った。
ご飯を食べ終わってテレビを見ていると突然後ろから抱き締められて、信じられない程心臓が脈を打っている。
私、悟くんのこと好きだったんだな…。
彼といた頃はまだ幼かったので、高校生でも大人に見えたし顔は整ってるし、何より、こんなクズを好きではないと、幼心に思っていた。
でも、お兄ちゃんみたいな存在としてはずっと好きだった。
「さ、悟くん、そろそろ離してもらえないかな…?なんでこんなことするの?」
「奏音……。」
やはり名前を呼ぶだけで答えてはくれない。
なので、身体で伝えようとしてくる。
首を曲げて耳に唇をつけたまま離さず、だんだんと息が荒くなっていく。
耳元でそんな息をされたら変な気分なっちゃう…。
だがすぐにそれを振り払い、具合でも悪いのかと首を振り向かせて聞くと、今度は唇に彼のそれが重なった。
うぅ…わかんない、なんでこんなことしてくるんだろう。
態度には出さないように必死に耐えているが、照れや恥ずかしさで身体が震えている。
唇が離れると目の前で嬉しそうに笑う。
か、可愛い…。
「あ…あんまりこういうことしちゃダメだよ…悟くんかっこいいから勘違いする人だっているからね…。」
今度はきょとんとした顔で見つめられて、またちゅっとキスをした彼はニコニコと笑っている。
私をどうしたいのだ…。
「だから、ダメだって……っ!?」
グッとお腹に回った腕に引き寄せられて、腰に硬いモノがあたった。
や、やっぱり欲求不満なんだ…でも私がするわけにはいかないし…そんなの恥ずかし過ぎて出来ない。
眠ってる間も一度も出していないであろう彼には申し訳ないが、自分で処理してもらいたい。
「ねっ、寝るよ!」
気付いていないフリをして布団に押し込んだ。