第11章 諦めない婚約者
悟くんが高専に戻ってから1週間程経つと、悟くんはなかなか帰って来れなくなった。
もう1ヶ月近く帰って来てない。
ほとんど帰ってなかったと言うのは本当のようだ。
それでも毎日時間はバラバラだが電話をしてきては、好きだよと甘い言葉を吐いて私の心配をしてくれている。
メッセージでも甘い言葉送ってきては、私の心を掻き乱している。
「奏音ちゃん寂しい?悟くん寂しい…明日帰れるよ!」
ちゃん……朝方電話をしていると明るい声が覚醒していない頭に響き渡る。
寝てないのだろうか…朝から元気過ぎる。
「うん…待ってる。」
「ふふ、ふわふわしてるね。眠い?起こしちゃってごめんね?声聞きたくなっちゃって!」
寝る前にも電話をしてたじゃないか…なんならそのまま寝た…。
もう少し待っててねとリップ音をたてて通話は切られた。
私はそのまま寝てしまい、インターホンの音で目が覚めた。
少し待ってもらい、身だしなみを整えてから下に迎えに行く。
まあ行く必要もないのだが…帰ってくださいと言ったのにここに五条悟が住んでると言いふらすと言われた為、仕方なく…。
言いふらされても悟くんなら別にいいと言いそうだが、婚約者がいる身で女と住んでるとか言ってもいいの?と脅されて…。
そう、訪ねて来たのは悟くんの婚約者。
「この前はちゃんと挨拶もせずにごめんなさい。左雨雫です。悟とは同い歳で18歳の時に婚約者になりました。」
なんだ、めちゃくちゃしっかりした人じゃないか…この前のとさっきのはなんだったのだ。
「私も挨拶出来ずすみません…御子神奏音です。21歳です。悟くんとは6歳の時に出会いました。」