第10章 最強の復活
「ぎゃあぁああ〜〜!!!」
「うるさいうるさい、そんな叫ばないで。耳壊れちゃう〜。」
そんなことを言われたって、普通の人間が生身で空に浮かぶことなんてあるわけないのだから仕方ない。
横抱きにされ、首にしがみつきながら耳元で叫べば軽く怒られる。
どうしてこんなことになっているかというと……。
「奏音、デートしよ〜。空中散歩しよ。」
「へ?空中…?」
ご飯を食べて夜景を眺めていたらいきなりそんなことを言われて、肩に膝掛けを掛けながらバルコニーに連れて行かれ、気付けば空にいた。
恐る恐る下を見れば、キラキラと輝く地上が見える。
力が戻った瞬間こんなことをして…。
「悟くんっ…高い…怖い…。」
「なんで?いつも窓から見てるじゃん。」
それとこれとは違う!
家だと落ちる心配なんてないけど、今は悟くんが手を離したら……死ぬっ!
悟くんがいきなり腕の力を弱めたので、私の身体がずりっと落ちる。
必死に悟くんにしがみついた。
「次したら嫌いになるからっ!呪っちゃうからっ!うぅ…。」
「あははは、ごめんごめん、泣かないで。嫌われるのは嫌だけど、君からの呪いなら喜んでっ!」
僕が手を離しても落ちないよと頭を撫でられる。
落ちるじゃん、悟くんがちゃんと掴んでくれてないと落ちる。
ほんとだよとゆっくり手を離されて、怖くてぎゅうと抱きつく。
「ははっ、これいいね。ずっと怖がっててよ。」
「なんでっ!?」
悟くんは笑いながら可愛いからと髪にキスをした。
意味わかんない、怖がってるの見て楽しんでるだけじゃん。