第3章 看病の日々の中
悟くんが目を覚ましてから1ヶ月が経ち、伊地知さんもよく助けてくれている。
声をかければ悟くんは自分で動いてくれるようになって、お風呂も入れるのだが…洗うのは私の担当のようだ。
「悟くん…どうしても1人で洗えないかな…?毎回見ないようにするの大変なんだけど…。」
背中を流しながら声をかけるといきなり倒れてきて、彼の下敷きになってしまう。
どうしたのだろうと慌てたが、自力で起き上がって私に覆い被さるように手をついた。
「ど、どうしたの?」
燻んだ蒼眼は私を捉えていた。
あ…目、見えてる。
後頭部に手が回ってきて頭を上げられると、下を向かせられた。
「なっ!なんで見せるのっ!?」
目に入り込んだ彼のモノをこれ以上見ないように目を瞑った。
今日で、目が見えることと耳が聞こえていることがわかった。
そのまま抱き抱えられ、元の位置に戻る。
洗えと言うように頭を胸に押し付けてきた。
この人、もうほとんど元に戻ってるんじゃ…。
もうびしょびしょだーと諦めて悟くんの髪や身体を洗い湯船に浸かるのを見届けてから、服を着替える為浴室を出た。
少し経ってから上がるよう言って上がってきてもらう。
今までは聞こえているのかわからなかったから、身振り手振りも加えて表現していたが、声だけでちゃんと応えてくれる。
少し屈んでもらいながら髪を拭いて身体を拭いていく。
服を着せて居間で待ってるよう言い、私もお風呂に入った。