第8章 2人が交わる時
3人にご飯を食べてもらい、私は少し食べて寝室に向かう。
「悟くん…好きだよ。」
触れられないのをわかっていながら頬に手を伸ばし、その柔らかい頬に触れる。
え、触れた…?
トス…っと悟くんの身体がベッドに落ちて、目が白髪に隠れた。
髪を寄せてまた頬に触れてみる。
触れる……呪力が切れた…?
すぐにリビングに行き、触れることを伝えるとすぐにみんなが寝室へと急ぐ。
硝子ちゃんが反転術式を使い、伊地知さんと憂太くんが悟くんの身体をベッドにちゃんと寝かせた。
「奏音さん、五条先生の服ありますか?」
憂太くんに聞かれ、急いで服を持ってくる。
男性陣が服を着せてくれて、治療も終わったらしく、また呪力が回復するまで安全らしい。
「目は、目はまだ覚ましませんかね…。」
さすがにまだだと硝子ちゃんに言われ、悟くんの手を握った。
というか、なんでずっと拳を握ったままなんだろう。
中に少し空洞を作っているようだ。
指先を隙間に滑り込ませて開こうとしてみるが、力が強すぎて開けない。
「奏音さん、何してるんですか?」
「何か、握ってるみたいなの。」
憂太くんに答えながら開こうとしても無理なので諦めた。
早く目を覚ましてね、悟くん。
頬を撫でてその顔を見つめた。