第8章 2人が交わる時
夕方になると祖母から電話がきて、どうやら、あれから寝ずに調べてくれていたようだ。
祖母にそこまでさせてしまうとは…。
私も祖母も産まれていない遠い昔、初めて還魂の術の力を宿した女性のことがわかった。
なんとその女性は力を使ったそうだ。使っていた人がいた。
そもそも今まで使う人がいなかったのは、使えなかったということがわかった。
六眼と無下限術式を持つ人にしか使えない、それが使われていなかった理由。
そりゃあ、使われることがないわけだ…その2つを合わせ持ってる人なんて、悟くんの前にどのくらいいたのか…。
「あの日、悟くんに助けてもらって好きになったのは、必然だったのかな…。」
まあ自分の気持ちを自覚したのは悟くんが生き返ってからだけど。
昔、還魂の術を使った時もこうして力が戻ったらしく、元の生活に戻れるまでには時間がかかるらしい。
確証がなくて言えていなかったことを祖母に謝られた。
というか、どこでどうやって調べたのやら…。
そのことを伊地知さんたちに報告し、夕飯を作り始める。
「じゃあ、別に僕たちがいなくても大丈夫ってことですかね?」
「反転術式使った方が早いんじゃないか?」
「そうですね…使った方がいいかもしれません。あんな御子神さんを見てられません。」
3人の会話を遠くで聞きながら調理を続ける。
こうしてる間に悟くんの呪力は切れていないだろうか、身体は大丈夫なのだろうか…不安は拭えない。