第8章 2人が交わる時
目が覚めても悟くんは宙に浮いたまま動いていなかった。
今、何時だろう…ナイトテーブルに置いてあるスマホを取り確認する。
9時…結構寝てしまった。
トイレに行って顔を洗おうと思いトイレに入ると、下着が真っ赤になっていて焦った。
生理かと思ったが終わったばかりなので、恐らく違う。
あぁ、悟くんのが入ったからか。
そういえばずっとズキズキと痛かったな、と痛みを思い出し顔を顰める。
だが、その痛みは悟くんと繋がった証拠、嬉しくないはずがなかった。
一度寝室に行き、替えの下着を持ってトイレに戻った。
スボンまではいってないようだ。
ナプキンをつけて今度こそ顔を洗った。
リビングに行くとみんな起きていて、飲み物は飲んだようだが食べた形跡がないので、慌ててご飯を作り始める。
時間が微妙だが、みんなお腹が空いているだろう。
急いで作ってテーブルに運ぶ。
「食べてください。あと、ケーキも食べてくれませんか?たぶん悟くんは間に合わないと思うので…。」
悟くんがいつ目を覚ますかわからないのに、ケーキを残していても捨てるだけになってしまうだろう。
でも食べてくれたから…。
というか、まだ悟くんは目を覚まないだろうし、みんなをここに縛っていてもいいのだろうか。
「あの、もしお仕事等あれば戻って頂いて構いません。でも目が覚めたら、2人どちらかすぐに来て欲しいです。」
「何言ってんの、1人じゃ心細いでしょー?」
硝子ちゃんが頭を撫でてくれた。
伊地知さんも憂太くんもいてくれるようだ、なんて優しい人たちなんだろう。
「それより、セックスをして術式が戻るってどういうことなんでしょう?」
っ!?憂太くん!?
まさかこんな大人しそうで優しい子がそんな言葉を使うとは思わず、口に入っている物を吹き飛ばすところだった。
「たぶんだけど、"愛"と関係あるんじゃないかな。術で生き返った人物は術者を溺愛するらしいし、セッ…性行為だって"愛"に関係あるでしょ?」
元々、死んでしまった愛する人を生き返らせる為に生み出された力なのではないか、そんな風に思ってしまう私は、頭がお花畑なのだろうか。
だって、今まで使われたことはないはずなのだから。